バーサーカー ふわり座
昔の僕はとにかく尖っていた。まるで槍のように。
バーサーカーと呼ばれるに値するものだった。
僕のことを見ようものなら全てを薙ぎ倒して
周りの者達全てが静まり返るまで止まることはなかった。
友達という者もなく側にいるのは僕を心配する君だけだった。
そんな君にも沢山心配かけていっぱい泣かせたね。
今では反省してるよ。
バーサーカーは今日も街で大暴れ、警官が来ても御構い無し、
どうすれば落ち着けるか答えを探してた。
いつものように僕を探す君を部屋に連れ込み抱きしめて
ベッドに押し倒し一夜を共にした。
カーテンの隙間から朝日が差し込み目が覚めた。
何だか不思議な気持ちだ、今日のバーサーカーはいつもと違う。
少し目立って入るものの暴れ出さない。ゆっくりと街を歩いている。
自分でも解らない、どうしてだろう。
心の奥で激しく燃え上がっていた炎は優しく暖かい光に変わっていた。
そうか、本当に求めていたものを手に入れた事で、
君を手に入れた事で君の半分が心に流れ込んだんだ。
あれから何年経つだろう。今の僕には君と子供達がいる。とても満たされている。
僕の人生の最後の1ページは君との思い出でいっぱいにしたい。
あの頃の僕はもういない、代わりに君の尻に敷かれて、
子供達にからかわれる僕がいる。
君には感謝してもしきれない、本当に有り難う。
あの日バーサーカーは眠りについた。
もう目覚めることはないだろう。