かめんびと 白猫の夜
軌跡など残らない
先人たちがそうと示した道を
私は性懲りも無く踏み続けている
大人という手から逃れるため
進む度に広がる波紋を
すぐに消え去る水面を
追いかけて
追いかけて
……でも
一歩違えれば
私は……
その歩みももう止めようとしている
……あ。
それは束の間の息苦しさだった
不安 焦燥 葛藤 陶酔
それら全てが無くなっていく
お前らのせいだと自ら切りつけた
未だに流れ出る血液だったその全てに
瞬間 かさぶたができてしまっている
さあ、身をゆだねて
口汚くののしってきた奴等になろう
私はやっぱり駄目だった
深海という未来が近づいて
あたりは眩しいばかりの真っ暗闇
目を閉じるしか残された道はないようで。.
……私は鬼ごっこが苦手だから
もしかしたら逃がしてあげられるかも
私がほんの少しでも
残っているならの話だけれど……
逆らうことなく力を抜く
未来はすぐそこにあるらしい
もう何も聞こえない
もう何も欲せない
もう何も喋れない
もう何も……見たくない
……ほらほら。
なにもなくなった
そこにあるのは仮面人
涙もこぼせなくなってしまった
かなしきかなしき仮面人
かりそめだらけのこの世の中で
幸せになりたくて生きている
それがかなしき仮面人
それが虚ろの成れの果て
わたしはずっとまっています
あのひすててったあなたのことを
わたしはずっとまっています
いつかみらいからぬけだすことを