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スレッドNo.1200

11月25日 晩秋のちいさな 奇跡


あさ 妻と 小さな 諍いを した
私は 黙って 静かに 聞くことが できたが
妻は 徹底的に 話したかった ようだ
私も 少し 怒りを 感じた

午後 散歩した
いい天気だった お日様が 温かく
明るく あたりを 照らしていた
11月25日 晩秋の 午後だった
私は いつもの 並木道を 公園へと
ぶらりぶらり 歩いていた
赤い木の実 や 黄色い かわいい 花が
咲いていた

私は 頭の中で 
「私の かわいい妻が 元気が ない」
「あの子は いい子 だから」
と ぐるぐる 言葉を 繰り返していた

公園の芝生の広場では 数人の子供たちが 楽しそうに 走り回り
遊んでいた

隅のほうでは 若いお父さんと 小さな 子供が
静かに 戯(たわむ)れていた

公園の 真ん中に たたずみ
私は お日様や まわりの 木々を 見ていた

突然 私の なかに 強い熱いものが こみあげてきた
気が付くと 私は 泣いて いた

世界は あまりにも 美しかった
むしろ 美しすぎた

11月25日 美しい 晩秋の 午後

泣いた あとで
世界は 少し 暗くなって すこし 寒くなった

「あれが いわゆる クライマックスか」
と 私は つぶやいた

そのあとで 私は また 少し 公園の 木々の なかを
ぶらぶら 歩いた

公園の 入口に ふたりの 若い おかあさん らしい女性が
立ち話を していた

公園に 入るときは 顔は 定かに 見えなかったのに
今度は はっきり 表情まで 見える
私が クライマックスを 経てきた ことで
見える ように なったのだと 私は 思った
私は 帰途についた

お日様は なおも 温かく 明るかった
わたしは 11月25日 晩秋の 美しい 天啓だと 思った

もし奇跡というものが あるなら
あの 美しさは
11月25日 晩秋の 小さな 奇跡だと 思った

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