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スレッドNo.122

松島や  ピロット

どんな船に乗ったのか
瞳に映ったのはどんな島だったのか
何もかもが曖昧で
白いヴェールの内に霞んでいる
昨日みた夢の記憶のように

 松島や ああ松島や 松島や

目前に広がる海原 点在する島々
これが絶景なのかしら
首を傾げながら乗り込んだ遊覧船
遠ざかる岸 藍色の海
船の道筋は どこまでも白く続いている

陽光を反射させ 輝く水面
潮の香り 島を指差すあなたの横顔
あなたの肩越し広がる景色は 確かに絶景
波立つ胸に 絶景をも霞ませる あなたを描く

田舎臭い民謡 エンジン音
かき消されぬように
島々の名を 奇怪な形の不思議を
あなたは 熱心に語ってくれたっけ 

波に洗われ浸食した 岩肌の灰白色
頂きの松の緑 橋の朱の色

近付く島に目を見張り 
船立てる波の後 遠ざかってゆく島を見送った…

 *

懐かしい記憶の中
船は進んでゆく
あの島々の名 どれ一つ
今はもう 思い出すことができない

二人で船に乗っていた……
潮風に吹かれ 並んで佇んでいることすら
恥ずかしかった
あの頃……

観光地の宿命か
時の流れの中で
絶景とは似つかわない 可笑しみと哀しみを
抱き重ねる 松島

私たちもまた
あの頃 思いもしなかった
可笑しみと哀しみを抱き
毎日を 送っている

時折 ふと思い返す
遥か遠い 松島の風景

絶景の海 牡蠣が抱く真珠のような
小さいけれど 甘いあの煌めき
胸の奥 今日も抱きしめて

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