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スレッドNo.1235

妄想人 黒い木

冬休みが始まると同時に、同僚たちは冷たい都会のなかへ暖かみを求めて消えて行く。
私は今日という一日を終わらせる為に駅に向かう、眠ってしまったその駅へ。

電車もイビキをかいて寝ている。私は彼の体にぽっかり空いた穴の中に入る。中の空気は生暖かく、やわらかい。
発車のベルが彼を叩き起こし、空いていた穴はギュッと閉まる。
彼は私をより家に近い場所へ運んでいく。彼の残酷なところは、
そこから私を家まで歩かせるところだ。

疲れた。私は座る。
会社にも愛されず、家族にも愛されない私を優しく包み込んでくれたのは、見知らぬ人のこの温もりだった。

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