評、12/9~12/12、ご投稿分、残り。 島 秀生
今朝から来てる寒波はとびきりのものです。
特に日本海側、北海道はドカ雪の暴風雪のようです。不要不急の外出はホントに控えた方がいいです。
また、それ以外のところ、西日本とかの日頃あまり雪が降らない地域にも降りますから、ノーマルタイヤでは不可のエリアがあります。
ちょっとただ事でないので、事故のないよう、皆さんくれぐれもご注意下さい。
●ピンボケに気づいた大人さん「季節」
うむ、いい詩じゃありませんか!!
人間と人間の、リアルな機微が描かれています。
違うかもしれないけれど、雰囲気、長いつきあいの夫婦の感じ。新鮮さもトキメキも忘れかけてて、感情の薄いやりとりが行われています。
他人事のように、キラキラ輝いたことがあったのかなあーと話します。
そんな中にあって、しかしながら最後は、これだけは本当の気持ち。きみがいて、また次も同じ季節を迎えられたらいいなと話す。
言うなれば、熟年化したロマンチックが描かれていると読みました。
いい味だしてますね。ああ、それありそうって、共感したくなる妙なリアル感がいいです。きちんと人と人の機微が描かれています。
ピンボケに気づいた大人さんは、私は初めてなので、今回感想のみですが、この詩はマルだと思いますよ。私はいいと思いました。
●白猫の夜さん「かめんびと」
なんとなく・・・、言いたいこと、わかりました。
まあ、生き残ったってことですね。
鬼ごっこが苦手なら、生き残った自分を見逃してあげましょう。
まあ、そんなに簡単に見つからないものは、
そんなに簡単に結論を出さなくたっていいってことです。
何年も、何十年もかかって考えてもいいことだってありますから。
ちなみに私は長いこと詩を書いてますが、自分が文才があるから詩を書いてると思ったことは、ただの一度もありません。私の元々は、ものすごく下手っぴです。こつこつ何十年積み上げて、ちょっとはマシになっただけですから。
不器用な人間でも、時間をかけたら、なんとかなるってことがあります。
作品ですが、一度気持ちを吐き出すのに、この詩はたぶん書かなきゃいけない詩なんですが、これはこれでベースに置くとして、次は話を3分割くらいにして、1つ1つ丁寧に、書いてみてはどうですか? その際、自分の心の内側だけでなく、外側。周りの状況やそこから目で見えるもの、自分のいる場所の景色などについても、多角的な視点を交えながら、ゆっくりと心の内を述べてみたら良いと思います。
基本的に、1つの詩でたくさんのことを言うって、そもそも無理があるんですよ。今回の詩は、ちょっと盛りだくさんすぎた感ですね。
今回の詩で良かったのは、全体の内容的なことと、パーツでは、鬼ごっこのロジックのとこが、良かったです。いいアイデアでした。
そんな感じで、また書いて下さい。
●もずさん「登りかけた山を引き返すと」
いや、引き返す勇気、必要ですよ。
もずさんの年齢は存じませんが、若い人の場合、休憩すれば、だいたい復活するんですが、高齢者の登山は、いったん動けなくなると、休憩しても復活しない。高齢者が動けなくなって、救助要請が出ることが、近年増えてるんですよ。
自分の体調と相談して、引き返す勇気は大事です。
登頂だけを目的に、途中の風景を見ない人よりも、私は周りのものを見る方が好きですね。途中にいいとこがあるなら、そこ目的に行きたいくらいです。私は植物や野鳥の方に興味がある人間なんで。
いいんじゃないですか。誰かに「××山、登ってきたぞ」というために、山に登ってるわけじゃない。自分の楽しみ方なんだから。
そういう意味で、私はこの話、リアルのままで考え方を示す方が、おもしろい作品になると思ったんです。だから「白い牝鹿」を入れて、架空にしたことは、私は余計なことに思いました。都合よく動植物が現れるわけでもないので、動植物を描くのに、多少は盛ってもいいんですが、「白い牝鹿」は盛りすぎというか、これ入れると詩全体が架空化してしまいます。テーマ性が飛んでしまう。
うーーーん、これって本当に作者には後悔とか、恥じる気持ちしかないんだろうか? 角度を変えれば、おもしろい詩になると思うんですが、人それぞれですねえー
私はちょっと、もったいないことしてる気がしましたよ。
タイトルは逆に笑えましたから。このタイトルで詩を書いた人はいない。斬新だなあと思って。何を言ってくれるか、主張してくれるか、楽しみに読み始めたんですが・・・。
と、いうわけです。また書いて下さい。
もずさんは私は初めてなので、今回は感想のみとなります。
●荻座利守さん「椿の蕾」
りっぱな椿なんですね。道行く人からは見上げる高さの椿とみました。
「荘厳」の言葉で表現されるということは、花のサイズも大きそうです。きっと自慢の椿なのですね。もしかしたら、お寺の境内にある椿とかかもしれません。
今年は12月初めまであったかかったせいか、椿の開花は遅めに思う。我が家はやっと、侘介系が1輪咲いたとこです。ホームセンターで苗木で売られてた時に一番早咲きで咲いてたんで、気に入って育ててます。小輪ですけどね。我が家で年内咲くのは、どうやらこの子だけのようだ。
「暗い緑の葉」の表現は、椿の葉の特徴をよく捉えています。椿は、この葉の緑の濃さと、花とのコントラストが、昔から人に好かれるところでもあります。また「葉の陰」という表現も、椿の蕾の付き方を、よく捉えていていいですね。そしてまた、蕾の状態で長く、なかなか咲かないとこも、この詩の待ち焦がれる情感と椿がフィットしてるとこと言えましょう。
でもまあ詩中の椿は、蕾から「紅い」がちらと見えだしているから、ここまで来ればそんなに先でもなさそう。開花の気配が出てきてますね。ちょうどワクワクの時かも。もうちょっとだからこそのエールの詩かもしれません。
それにしても、「宇宙」が出てくる8~9連あたりは最大級の賛辞だなあー (椿の方が恥ずかしがって、出て来なくならなきゃいいが) 作者もかなりの椿好きかもしれませんね。
うむ、いいでしょう。名作を。
強いていえば、9連~10連(終連)が言葉優先でリズムの悪いところがあるので、終連4行目の「荘厳さに」を → 「荘厳に」として、そこで調整を図りましょう。
●喜太郎さん「ベンチ」
「唐突な質問にも動じる事は無く」が、いいフォローになってますね。
リアル、というより実際、ドラマ仕立てなとこがままあるんですが、でもそれはそれとして読めるのでOKです。
間合いをちゃんと描けてるのがいいです。セリフとセリフのあいだの部分の間(ま)が、なんとも言えず、味があります。
たちまちに得心がいくわけがない。間のあいだに反芻し、考え、だからこそ返事ができる。そのプロセスをちゃんと踏んでるのがいいです。
そして、もちろん、この人生観も悪くない。
うむ、これはこれでできてる感じがする。秀作を。
●エイジさん「初冬に咲く野菊」
うむ、自分の人生の行く道を、一本の野菊に問いかける。物言わぬものへの問いかけは、反面で自問でもあり、こうした図で描かれる花の在り方、うまく捉えたと思います。
2連の「まずは僕の散歩の行き先からでも」で、問いを始めるところも良いし、3連で、これから先の厳しい季節の話もよい。
それら段階を踏んだ上で、5連の、
私もあなたのようでありたい
命に限りがあろうとも
無心に精一杯生きて
無心に散って
嘆くこともしないこと
だからそう 今この瞬間を
懸命に生きるのです
のメインとなる人生観に着地するところは、ステキです。
うむ、しっかり書けましたね。これからも丁寧に書き込んでいく形が良いと思います。
秀作プラスを。
一点あります。
初連の「初冬に咲く」や、2連の「キンと凍てついた早朝の空気」などあり、時点をそこに定めたままで3連に入ればいいと思うので、
3連の「十月を過ぎてもなお」は → 「十一月を過ぎてもなお(つまり12月に入ってるの意)」でいいと思います。ここだけ「十月」と過去に遡る必要はないです。
野菊では確認していませんが、実際、12月最初までは温かかったから、秋咲きの園芸種はまだ咲き続けていたし、そういう一般的にどうか、ということでなくても、この詩の脈絡からは、他の野菊の開花が終わっていても、珍しく咲き残っていた、その1本を作者は発見して、話しかけてるという図で読んでも、問題がないものです。
なので、そこを「十月」に遡る必要は全くありません。現時点のスタンスのままで書けばよいと思います。