ポインセチアの葉色 荻座利守
美しく煌めく
イルミネーションのもと
洗練された花屋の
ディスプレイを飾る
ポインセチアの
華やかでありながら
暖かい絨毯を思わせる
赤い葉色の内に
微かな
哀しみの色陰をも
観てしまうのは
なぜだろう
おそらくそれは
犠牲となって
流されることを定められた
血の色だから
いにしえの
預言の成就を背負って
生まれてきた
赤子の色だから
今我らが立っている
この大地に染み込んだ
贖いの血の色を
ポインセチアは
ことごとく吸い上げて
己の葉の面に顕し
我らにその色を
思い出させる
なぜならば
大地に染み込んだ血は
今でもなお
涸れてはいないから
今もなお
犠牲の血は
流され続けているから
だがそれは
血の色であると同時に
一粒の麦の死により
もたらされた
大いなる実りの色でもあり
赦しの色
慈しみの色
悦びの色でもあるから
美しく煌めく
イルミネーションのもと
哀しみの上に重ねられた
悦びを顕す
ポインセチアの葉色より
贈られてくる
温もりの深さを
今夜は心の底にまで
染み込ませよう