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スレッドNo.1287

睡蓮の浮かぶ水  三浦志郎  12/30

水の何処かで
命が呼び寄せられ
麗しく催される

茎に繋がれて 
丸い舟が
池を緑に飾る
陽の中で待ちわびる

柔らかく舞台は置かれ
水の精が
恵みの種子を解き放つと

清楚に化粧された
彩りの
首が生まれた
葉舟に招かれる貴人として
宝石を浮かべたような昼と夜

その表情を
光が仕上げ
風が音曲を添えていく


水夢
酔夢 
睡夢 
揺れるように泳ぎながら
花宴(はなうたげ)の
池と夏は続く
水に
酔い
睡り
夢うつつに咲いていく
花祝いの日々


その一生には
掟も背負わされ
誕生には滅びさえ含まされ
美しすぎれば短すぎる

ある晩夏の昼下がり
ふと 時が嫉妬する
華のあるもの 
奢れるもの
美を欲しいままにするものに
爛熟の後には
必然の没落をもたらすだろう

全てが儚い
幻想の定め
耽美の行く末に
首は瞳を閉じて沈んでいく
花姫(はなひめ)が入水する

水底が糸引く差配



*******************************

あえて、季節外れの詩を。
しかし好きだった夏を経てこその、年の瀬あり。
今年一年、ありがとうございました。 どうぞ、よいお年を―。

編集・削除(編集済: 2022年12月30日 05:15)

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