初日の出 荻座利守
妙言無古今
という言葉を聞いた
名言は
どれだけ時を経ても
名言である
という意味らしい
古今の無い
妙なる言葉とは
例えば
どのようなものだろう
そう思ったとき
ふと
初日の出が
頭に浮かんだ
元日の朝
朝日が昇るのを見ると
人々は皆どよめくという
朝日など毎日昇っているのに
なぜ元日の朝には
皆どよめくのだろうか
おそらく人々は
その朝日の内に
妙なる言葉を
感じているのではないか
阿から吽まで
AからZまで
アルファからオメガまで
森羅万象を包括する
言葉無き言葉を
人々は無意識に
元日の朝日の内に
感じとるのかもしれない
日の光は
この世のあらゆるものを
照らし出し
この世のあらゆるものに
宿るけれど
日常の雑事に追われていれば
身近なものに宿る光や
その光が語りかける言葉に
気づかないから
その光の源である
初日の出を
その古今無き
言葉無き言葉を
人々は拝みにゆくのだろう