元旦に鳴る風鈴 松宮 定家
朝日が昇りゆく2023年の元旦は
雲一つない混じりなき快晴
いつもは工場の煙に霞んだ前景も
ハレのこの日ばかりは開き渡り
富士は高らかに賀正を吟ず
生家への帰途の道すがら
穏やかな風が吹き抜け
チリーン…チリーン…と
季節外れの風鈴の音
むせかえる暑い夏の日
その調べは オアシスの泉のひとしずく
白銀の日差しの迎春の日
その調べは 天よりのささやかな祝い鐘
一年など、一つの風が吹き抜けるがごとく
過ぎてゆくもの
流転する時の中で
人も、その本質の美しさが真実であるなら
何度でも輝ける