つくろう人の歌 理蝶
新しい音楽が
今日も空から
ミュージシャンの頭に降っている
今日の天気は晴れのちメロディ
夕方にかけて
哀しい和音が降るでしょう
そんな予報
美しい一行が
今日も風すがら
詩人の頭に引っかかり揺れる
このひらめきは驚きに近くて
気持ちに任せて気持ちよく
書き留めておこう
思考の光を
創ろう
今ここで生まれた何かが
明日誰かを豊かにしたのなら
悲しみは空へ昇り
青く溶けるから
繕う
雑多でありふれた生活が
芸術の一雫のための糧だとしたら
まだ言葉を
諦めずにいられるはず
歪みに托す
言葉に托す
祈りと孤独の
混ざった気持ち
それが僕の中で
終に消えるまでは
つくろう
さあつくろう
諦めずにつくろう
力なくうなだれる
ひしゃげた心を抱く人よ
君にはまだ音楽がある
君には何より言葉がある
だからつくろう
さあつくろう
諦めずにつくろう
静かな炎を
瞳にしまって
つくろうと心尽くす人々は
今日も街に溶けてゆく