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スレッドNo.1360

微かな光芒を頼りに  荻座利守

本当に・・・
言葉もないほど

心から
本当に美しいと
感じられる詩を
読んだとき

美しいものに出逢えた
純粋なる悦びに
浸ると同時に

歴然とした
力量の差を見せつけられ
ああ自分にはとても
こんな詩は書けないと
哀しい想いにも囚われて

重層する悦びと哀しみが
寄せては返す
希望と絶望の波によって
断裂され
褶曲されたように
複雑に絡まった想いの沼に
はまってしまう

その沼の色は
あたかも

愛しい人へ
想いが届かず
涙と共に躓きながらも
愛することを止まれぬ
若者のような

新天地へ向けて旅する
仲間達について行けず
力尽きて斃れてながらも
希望の地を臨もうとする
獣のような

訪れる虫や
風や雨に恵まれず
いずれ朽ち果ててしまう
宿命にありながらも
なお可憐な花を
咲かせようとする
草のような

そんな数多の想いが
入り交じったかの如き
重い色の沼に沈みつつ
届かぬものへと伸ばした
この掌と指先に走る
刺すような
ひび割れるような
鋭い痛みを覚えるとき

顧みられることも
報われることもなくても
健気に生きようとする
小さきものたちに

それでもなお
言葉を紡ぎ続けよと
語りかけられているように
感じて

それは深い闇の彼方に
射し込んでくる
微かな光芒

それに導かれ
それに支えられ

己が胸に
拙さ弱さを抱えながら
己が背に
愚かさ狭さを負いながらも
再び私は
言葉を紡ぎ始める

小さきものたちが放つ
微かな光を
唯一の頼りに

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