感想と評① 6/17~6/20 ご投稿分 三浦志郎 6/25
1 暖風さん 「赤ちゃん」 6/17 初めてのかたなので、今回は感想のみ書かせて頂きます。
よろしくお願い致します。
意味・解釈がわかりません。こういう種類の詩でも、どこか足がかりになる部分もある場合があるのですが、すみませんが、そういった箇所も見出せずに終わりました。僕はこういった詩を真っ向から否定するものではありません。ただ思うのは、この詩という適材に対して、このサイトが適所かどうか、ということです。初めてのかたなので、よくわからず投稿された可能性も考えられます。
掲示板表紙の「掲示板ご投稿に関するお願い」をご参照ください。僕らはこういう所です。
この詩を読む限り、投稿サイトの選択が少し違う気がします。まず様子を見ましょう。
上記ご参照の上、沿う形で書いてみてください。又何か方法があると思います。
2 おおたにあかりさん 「海」 6/17
この詩はちょっと不思議で、3連目に「一人で」とあって、6連目に「少しならんで」―明らかに誰かいる―とある。それとも「ならんで」はここでは前連の「文字」に対してのことなのか?そうならば、この表現は誤解を招きやすい。ここに解釈上のストレスを感じるのです。そして、やや別方面ながら、4連目の「ひとりをえらんだのは」、これは2通りに解釈できて、
A……自分がひとりでいること。つまり孤独を選んだ。
B……数ある人々の中から、一人の特定個人を選んだ。
A・B共に選択主体は「ワタシ」で問題ないのですが、Aは3連目に関わりそうだし、Bは6連目に関わりそう。してみると、話はさらに混迷しそうな感じなんですが。それとも、もともと二人で海に来ていたけど、3連目では”その人と、かなり距離をおいて歩いた“そんなニュアンスの「一人」なのか?さらに終連冒頭「こんどだれかをすきになるのなら」は、(仮に、ある人物がいるとして)その人との破局、諦め、別れを連想させます。心情にしろ、場面にしろ、何かを浮き彫りにするには、何かが抜け落ちている、何かが足りない、そんな気がします。僕の感覚で言うと「補強すべきもの」そんな言葉が浮かびます。評価はちょっと止めておきましょう。
3 西条紗夜さん 「ムルソー」 6/17
鏡に映る自分は同じ顔でも左右が逆転しています。そんな鏡の原理のようなものが、この詩の根底にあるような気がします。ムルソーVS社会や常識の逆転劇のような。確かに人間には狂気のような部分も備わっていて、それを掣肘するのが社会かもしれず、あの小説は人間の持つ不条理属性を登場人物に託して増幅してみせた、と僕は解釈しているのですが、この詩にもそういった趣きが感じられます。ムルソー側(鏡の持つ逆の様相)から見れば、確かにこの通りでしょう「人間は本来こんなものだ」「むしろ彼以外が不自然だ」などが端的に表しています。しかし、最後の「彼を殺したのは社会だ」は、考えようによっては不思議な言葉なんです。逆に社会を糾弾しているようにも取れるし、「このような彼は社会によって抹殺される」―つまり法律・文化・慣習・常識の側に立っているとも取れるのです。この詩の主旨に諸手を挙げて賛成、というわけにもいかず、難しいところです。従って、こちらも評価は止めておきましょう。
4 小林大鬼さん 「手紙」 6/18
この詩が盛り込む事情とは、おそらく書いたけれども、出さないで終わったケースが大部分と思われます。まず考えられるのは―俗っぽいですが―元、彼、元彼女。もっと辛いケースでは、書いたが、受け取るべき相手がすでにこの世にいないケースetc、etc……。まあ、個人事情で、まだいろいろなケースが考えられるでしょう。何を言いたいか、というと、この詩は―やや失礼ながら―情報とか内容が少ないんです。ただ、こうも考えられるのです。大鬼さんのことですから、上記要素を極力節約し、セーブして、その事情を読み手に自由に想像してもらう、読み手に託す。その分、文は少なく容器を大きく広く取ったとも考えられるのです。このことは、僕の中ではなお揺れている状態にあります。そういったニュアンスで、とりあえず佳作一歩前で。
5 妻咲邦香さん 「裸の胸」 6/18
うーん、いつもと感覚が違いますね。いつもの、感性が遠くに飛び交う感覚が影を潜め、良くも悪くも、妻咲さんにしては真っ当過ぎて、どうなんだろう? そんな感じですね。
その分、ややセンセーショナルでセクシャルな雰囲気がそれに取って替わっている、そのように解釈すべきなんでしょうか。ただ、エッチだとかそういう感じはなく、筆致自体はあくまで静かであり、
むしろ誠実に書かれた結果が窺われるのです。「二人きりになったなら」―このあたりがこの詩の本音でしょう。これは胸というひとつのパーツを通しての愛の詩とすべきでしょう。だから奇を衒わずピュアに書いたとも言えそうです。ただ過去作一連の流れにあって、佳作一歩前で。
6 じじいじじいさん 「えがお」 6/18
これはいいですね。佳作です。好きだし、読んでいて気持ちがいいです。まず捉え方として、
「えがお=はな」をセットします。そして比喩としての「なかま」と「へいわ」。なにか、言葉と比喩の
枝分かれの仕方がいい、そんな感覚ですね。想像領域も子供の持つリアルを体現しているように思う。終連が前3連を上手く引き受けて、まとめました。これらの事情を生み出すのに表現された「たね」という感覚が僕は最も打たれましたね。3連目は、今、現在、戦争状態にあるから、よけい、伝わるものがあるでしょう。 よかったでした。
7 cofumiさん 「雨の音」 6/18
2マス空けの春~夏~秋~冬の雨の表情。雨の“声”とした雰囲気が伝わってくるようにすてきですね。最も好きなのは「夏への希望」「色をつけ」「冷めかけの珈琲に似て」「時間の上に降り」などですね。なかなかの感性だし、このパート、マス下げしたのは正解かもしれない。センスでしょう。
逆に好きでないのは「グチャグチャ」。品格から言ってちょっと興覚めですね―。ここだけ部品交換しましょうか。さて、その終連ですけど、少し他方面に振ったのがおもしろいのです。前連の雨の
四つの時間を受けての「過去」ということかもしれない。あるいは冒頭連の体験的なことを引き受けての感覚か?僕が勝手に受けた感覚で言うと―ちょっと硬い表現だけど―「過去という時間の再編成・再生産」。これ、生きてく上で必要ですよね。佳作を。
つづく。