一抹の寂しさ エイジ
1月2日 今年最初の透析日だった
朝早く病院から連絡があった
透析の機械を動かすのが遅くなり
いつもは1時半から始めるところを
4時半からしかスタートできないという
 チッ 終わるのは夜中の8時半か
 まあしょうがない
 そういう時もあるさ
そう言い捨てて3時半に家を出ると決めた
3時半までは待ちくたびれた
待っているうちに1日が終わるじゃないか
文句を言わず3時半に家を出た
バスで駅前まで15分かけて行った
病院の方へ向かう乗り換えのバスは
3時54分駅前発だった
 まだ少し時間があるじゃないか
 ちょっと一服していこう
喫煙所に入ると
初老の男性が一人と
一際目を引く若い女性が一人いた
 まだ1月2日かぁ
 そんな日にタバコを吸いに喫煙所かぁ
少し他の喫煙者に目をやった
僕はライターに火を点けた
その時ふと一抹の寂しさを感じた
       *
病院に着いたのは4時ちょうど
ここからはいつものルーティーンで
後半かなり寒かったのと
テレビがいつもより賑やかである以外は
特に変わりなく透析を終えた
       *
予定通り8時半に透析は終わった
再び駅に帰ったのは9時近く
タクシーの列はかなり伸びていた
 この時間、バスあるかなぁ
 なんだ9時ちょうどのバスがあるじゃないか
 誰も乗る人いないだろうなぁ
バス乗り場の一番前に陣取った
しばらくすると
若い女性が一人
初老の男性が一人
車いすに乗った女性が一人と列が伸び
他の方面よりも列が伸びていた
 帰りは僕一人だと思ったけど
 こういうのって正月らしいって言うのかな
 夕方とあんまり変わりない感じだ
そうやって僕は予定通り
夜更けの透析を終わらせ家路に着いた
なんだか暖かいものを胸に感じていた