偲ぶ 理蝶
ひりつく風が墓地の狭い路を縫う
枯れた葉を悲しく鳴らす
あなたがいないことを受け入れるのには
僕はまだ幼かった
だってあなたがいるということが
どんなことかさえ
まだわかっていなかった
ちぎれちぎれに頭にしまわれた
あなたと別れるために踏む
いくつかの段階での光景が
僕にとっての死だった
荼毘に付され登った煙は
あなたではなかったし
壺に入り押し黙る骨も
もうあなたではなかった
喪失に抗うため
人は煙や骨にあなたを重ねるけど
それは証であって薬ではないと
思い知った
あなたを思う時
空を見上げれば良いのですか
手でも合わせたら良いですか
そばにいると諭されても見えないのなら仕方ない
言葉を尽くし時は過ぎた
涙を流すことももうない
今はただ 会いたい
それだけが静かにあって
ひりつく風が墓地の狭い路を縫う
風は立ち登る線香の煙を乗せて
西へ抜けていった