なつといえば 鯖詰缶太郎
りんご飴を落としてしまい
君の目がただ、ただ泳いでいた
僕は、遠くから君の狼狽する姿を見てた
境内は今夜、電気を使わずとも
ネオンじみているな
不夜城を名乗るには
見回りの教員が多すぎた
すいかが割れる音
蝉が落ちていく音
どちらの音を
君は今
聴いているんだろう?
君は風鈴の音に
耳を傾けるような
嘘つきとは
違う
だから
いまだに
僕は
夏服で
汗ばんだ
サクスフォーンの音を懐かしむ
あたりもしないくじ引き屋の前で
君とすれちがう
君は
嬉しそうに
りんご飴を舐めていた