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スレッドNo.1414

雨音の夜  荻座利守

雨音が忍び込み
心沈む夜が更けて

夢うつつの狭間
薄暮の如き朧な空間に

月下美人の白い花が
ゆっくりと開き始める

その故郷より
時と場所を越えて
今ここに
音もなく開く
蝋細工のような大輪が
似合わぬ雨音に
覆われるとき

雨雲に遮られた
月光の魂は
月の如く白くも
一夜のみにしか開かぬ
儚い花に宿り

花の魂は
降りしきる雨を
刹那に静止させて
その雨粒ひとつひとつ
すべてに宿り

中空に留まった
雨粒の魂は
その銀色の輝きを
微かに震わせて
夜の大気の中へと
溶けだしてゆく

心沈む夜
夢うつつの狭間に
染み込むような雨音が
引き継がれゆく
魂の旋律を
しめやかに奏でてゆく

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