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スレッドNo.1417

感想と評 1/13~1/16 ご投稿分  三浦志郎  1/22

お先に失礼致します。


1 妻咲邦香さん 「雪の日の朝」 1/13

まず視点がブレてないところがいいです。そのブレない背景に作者は想像力を駆使して、様々な叙述が代入できる。読み手も安心して自分の想像世界に遊べる、そんな印象を持ちました。
前者はもちろん妻咲さんらしさ、ということです。2連・終連に見る事ができます。とりわけ終連。
物理的には「小さな足跡」だったようですが、「恥ずかしい~大きな」とする。ここにこの詩の神髄としての修辞があり、隠喩があり、謎があり、華がありそうです。「交わることのない誰かの営み」も極めて重要なフレーズです。 佳作です。

アフターアワーズ。
自分勝手な想像を書きます。僕はこれを恐怖心をもって読みました。(誰が訪れたのか?)
自分(ミウラ)の家の裏庭―第三者が入らないような立地―に足跡。普通だったら、警察の鑑識などでないとわからないところなのに、雪の日の朝、まっさらな雪に足跡のみ、一目瞭然です。恐いですねー。ヘンな想像ですいません。でも想像でよかったです。


2 理蝶さん 「偲ぶ」 1/13

「あなたがいない=不在=死去」と「僕がまだ幼かった」を時の起点とすると、この詩の「現在」はかなりの歳月が経っていると見ます。死去1~2年後では「僕」はまだ幼くて、この詩のような思考は出て来ないだろう、からです。あの当時を思い出しながら、死の意味を考え故人を偲んでいる。これはその歳月を充分味わい、丁寧に読んで行きたい詩。時間意識が巧みに描かれています。少し角度を変えて話すと、この詩の考え方は大変オーソドックスで、極論するとオーソドックスしか書かれていないと言ってもいいほどです。ここまで書くと、一見、批判のようですが、どっこい、そうではない。そういったものを極めて詩的純度の高い詩行で包んでいる点です。そこを見ておきたい。

「煙も骨もその人の物質的証拠ではあるが、それが心の平静や癒しになることはけっしてない」
                        ↓
「人は煙や骨にあなたを重ねるけど/それは証であって薬ではないと」

「○○さんは亡くなったけど、いつもあなたの心の中にいる」などとよく言われるが、
所詮は修辞であって慰めでしかない
         ↓
「そばにいると諭されても見えないのなら仕方ない」

こういった書き方を評価しておきたいのです。ところで、僕がこの詩に時の流れを感じるのは、ひとつには7連があるからです。終行も趣深い。極楽浄土は西方にあるとされています。佳作を。


3 荻座利守さん 「篝火の花」 1/15

冒頭佳作。
花に疎い僕でもシクラメンは知ってましたが、名前の由来はとても勉強になりました。しかも和洋両方の由来があって興味深い。詩も概ねこの両説によって展開するのが基本方針でしょう。
冒頭から3連までがその感じ。4連では実際的な生態に少し触れ、微妙に変化が出ました。
後は、いつも通りの思考が入って、すでに「荻座スタイル」というものができているように思いますね。両説的なことが混在してしまうかな?といった危惧もあったんですが、無事クリアーです。
英名由来のほうは欄外に任せて、むしろ篝火の方に比重を置いて書かれたほうがテーマ的に良かったです。すなわち冬の厳しい時を、篝火のように人を照らし、和ませ、導く。そんな主旨にかなっています。英名、和名、どちらも麗しい。「篝火花(かがりびばな)」とした日本人の感性も見事です。「冬の良心」といったところ。
対象の選び方、名前エピソードの扱い方、それにふさわしい詩の叙述と方向性も大変良かったです。サイズもジャストです。


4 エイジさん 「太陽の軌跡」 1/15

冒頭佳作。
最近、なんかいいですねえ。なんか心境の変化でもありましたか?
この詩は恋する二人を登場させたのが圧倒的にいいのです。圧倒的に成功しています。プラス「僕」を添えたこと。これも左記に同じく。
別に悪趣味とか、人の恋路を邪魔する、というのでは全然なく、あくまで「愛を伴った二人との邂逅・その偶然」と位置付けたい。どこか短編小説の美しい一場面を読むかのように、うっとりしてしまいます。ロマンあり、文学的香気あり。「エイジ・コレクション」屈指と言っていいでしょう。人物を包む事物、光景も柔らかくも美しい。こういうのを書くと、「さらに上を」みたいな使命感、目標感が出て妙に緊張したり硬くなったりしちゃうんですが、長く書いていくうちには当然、好調・不調あり、派手・地味あり、強弱あり、雨の日もあり、晴れる日もあり、なもの。そんな風に構えて平常心でいるのが一番良いように思います。

アフターアワーズ。
大勢に影響ないので欄外に書きます、この詩の文学的横顔からすると「僕」ではなく「私」でしょ。


5 香月さん 「めかくし」 1/15 初めてのかたなので、今回は感想のみ書かせて頂きます。

よろしくお願い致します。あるPOPSの歌詞に「目かくしで 森の中~♪」というのがあって、なかなかシュールでかっこいいのですが、ちょっとそんなことが浮かびました。この詩のフィーリングもそんな気がしないでもない。内容とタイトルのギャップが―是非を措いて―興味深いのです。額面通りに受け取れば、金平糖をひとつずつ噛んで砕いて飲み下す行為なんですが、「ホント分かってない」(意味不明)と「君」の存在によって、セリフからすると「君」は女性。金平糖を口に入れてるのは男性という推測ができるのですが、タイトルがどう関わるのかは不明のままです。終わり2行がいいですね。「毒と蜜」が利いています。恋人同士のちょっとした戯れのようにも印象されました。また書いてみてください。


6 まるまるさん 「その日見たのは」 1/16

石川啄木 「はたらけど はたらけど なお わがくらし楽にならざり じっと手を見る」

毎日の家事と仕事に重さを感じ、うんざりしてきた矢先。(あります、あります)そこから石川啄木を思い起こすことはあるでしょう。(あります、あります)詩の半分は啄木絡みで展開されます。ここでやや面白いのは、どちらかと言うと手の平を見るのが自然なのですが、ここでは手の甲を重く見ている。料理中だから自然に甲が見えたのでしょうが、これは詩の個性となり得るかもしれない。ここで援護的に書くと、冬の手の荒れを気にするのはむしろ甲のような気がするのです。僕は手荒れがひどいので毎朝「ニ〇ア」を塗りますが、甲の方を意識しますね。これは啄木の登場が面白く読みどころでもあるでしょう。佳作半歩前を。

アフターアワーズ。
その石川啄木ですが、上記名作を読むと、勤勉で清貧で健気で可哀そうな人物がイメージされますが、「作品と人物は別」の典型のような人……ということが判明しました。職を転々、遅刻欠勤当たり前、借金だらけ、女遊び、奥さん質屋通い。とんでもない。
作品はどうであれ、内面はどうであれ、人間性はちょっと尊敬はできない。



7 ゆーたさん 「雷鳴と白鳥」 1/16 初めてのかたなので、今回は感想のみ書かせて頂きます。

よろしくお願い致します。なかなか書ける人といった印象を持ちました。最初なので、どの位の詩キャリアがあるかはわからないので、基本的なことを書くと、まずタイトルに沿って、タイトルを追いかける事が、基本であり常套手段だと思います(勿論、そうでない物も、それ以上にあるのですが)。今回、その定石を意識して読んで行くと、1蓮。いいと思います。タイトルを意識した自然的叙景と精神が語られます。続く2~3連ですが、僕はどう読んでも別の詩が入ってきたように読めるのです。これらはちょっとテーマが違うと思う。このパートは別の機会に別の詩として作るのが自然に思えるのです。幸い4連はややタイトル主旨に近いので、ここをアレンジして1連と繋げて、タイトル的に受け継いだほうがいいように思うのです。参考までに、僕ならどうするかをちょっとやってみたいと思います。フレーズが変わる事をご了承ください。
(4連のみ。1連から続く)

ときどき、あの日に戻ることがある
白鳥を見たあの日
少しの雨と
淡い雷鳴の中で
白すぎる白鳥の翼を
瞳が捉えた時
あの柔らかい水滴は
わたしの涙だったのではないのかと
思うことがある
鳥の白さに
何かが哀しいわけではありません
こころが動いたのです
ただ 遠くへ行くだけの話です
白鳥と共に 白鳥のように
白い翼を携えて
大海を越えて
たとえ雷鳴が聞こえようとも
遠くへ、 ただ遠くへ

上記はあくまで参考です。こんな感じで1連と繋げて(心情も若干入れながら)自然メインのテーマで締め括ったほうが、この詩らしいと思えるのです。 また、書いてみてください。


8 朝霧綾めさん 「白菜の甘酢漬け」 1/16

前作に続いて、お料理詩。今回は素材が具体的。タイトルの食物、おいしいですよねえ~。ごま油、味を引き立てそうです。「しゃくしゃく」音も味のうちか? 4連からなにやら世界が壮大になってきます。白菜の漬物によって世界の、人類の、邪悪全てを駆逐、退治する。これはもう技術論・是非論・具体論・抽象論全てを突き抜けるパワーが与えられています。とりわけ5、6連は読みごたえがあり、何か勇気をもらった気がします。おそらく白菜を視覚・味覚・聴覚から捉え、それを極限まで押し上げたの感があります。
奇観・偉観であります。隠し味として白菜に沁み込んだユーモア味も魅力です。佳作半歩前で。

アフターアワーズ。
ここで真摯なお詫びを。冒頭、嘘八百並べました。すみません。僕は白菜が嫌いです。食べたことありません。味も食感も知りません(ついでに大根、ナスも)。漬物も一切食べられません。逆に(なんで日本人は食べるんだろ?)と不思議なほどです。せっかく書いて頂き申し訳ないです。当然のように、これは朝霧さんの責任では全くありません。僕が変人なだけです(あとはノーマル! 笑)。


評のおわりに。

上記に続いて食べ物の話。食パンです。 関東では6枚切:8枚切=6:4 又は 7:3位の比率で
利用だと思うんですが(ウチは6:4くらい)、関西では8枚切は食べないとか、店に置いてないとか。
ネットでそこそこ調べたんですが、関西はド~ンと「厚切り指向」? 興味深いことです。では、また。

編集・削除(編集済: 2023年01月22日 11:11)

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