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スレッドNo.1433

華毒  紅桃有栖

帽子を被るあなたの顔に影がおち
ふと挨拶をされたとき
恋愛という神話の一端を垣間見て
健康を知ればまた病気も知られるように
あなたを知ればその不在を感じるほかないので
もとより欠けていたのかはともかく
日々会わないときの心細さはさながら
己の欠落を指でなぞるよう

愛神というものは
あなたの涙にいったい何を混ぜたのでしょう
恐るべき毒薬の一滴は
形なき私を欠かしたのですから

動かさずして鼓動を速める唯一の人よ
日常を飛ぶひとりの男を射貫き
底なしの幽谷を下らせて
放ったそれなど気にも留めず
崖の上で歌うとは何事ですか

すべてを掌中にしながら
気づきもしない恋神の愛娘
風圧で眠れるというのなら夢をみて

その胸に抱かれ
あつい春に純白の花園から立ち上るように
素肌を重ねて祈り
桜色の口の中
四季混淆の華々しい色情に
舞い踊り
四肢溶け悲喜去り……

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