一月の川底 朝霧綾め
公園の石畳を
ステップ踏んで歩いていく
陽の光が
冬枯れの木々に射しこむので
石畳は金色の川底
そこに木々の影で
黒い大きな網ができる
まるで川の中にいるよう
青空は
水中から見上げる
陸の緑の色
ちりんちりんと音をたてて
通り過ぎる自転車は
澄んだ声を持った
美人の魚かしら
すべり台だって
魚たちの遊び場にぴったりの
石か水草みたい
人間の姿のまま
魚になった私は
お気に入りの水色のスニーカーで
歩いていく
明るい陽だまりの部分は踏みながら
網の黒い縄は飛び越えて
黄色い陽だまりを
一歩踏むたび
ぱしゃん、と小魚たちの跳ねる音
大きな魚の私は
ゆうゆうと歩いていき
網の部分もぬけだした
うしろを振り返れば
大きな網が黒くはられている
少しほっとして
今度は何もない
あたたかな日なたを歩く
一月 快晴の日