嘔吐する自我像 猫目屋倫理
言いたくありません
噛み砕いて噛み砕いて
噛み砕き過ぎて
味が分からない
接続詞の拒絶反応
わたしはこの言葉を
吐いている
身体の一部を消費しながら
吐く
に力を注ぐ
吐く
吐く
吐き出す
痙攣した胃からは消化不良の疑問符が飛び出し
なんでと聞いてくる
なんでなんでと子供のように
わたしは子供が嫌いだ
意思を持って嘔吐する
吐瀉物は過不足なく存在する
感情の吐露ではない
ただ存在する
「唐突と感じる事は想定範囲外ゆえの愚問であり全てを推し量ることが出来るという傲慢さの現れで
もあると知るべきそしてこれは説明書ではないゆえに懇切丁寧に分かりやすく述べよと言う愚行は
表現や想像力といった人間性の冒涜に他ならぬと遺憾の胃を表明するすなわち自由意志に基く個人
的表現はそれが完全であり個性の損失が危ぶまれる予定調和とも言うべき他者に向、か、、うっぷ」
唐突な吐き気
(あ、むりで…る……)
飛
飛
飛
飛躍する
セルフポートレートはそれ以上でも以下でもない
向き合う
わたしに
わたしはわたしと向き合う時がこの世で何より滑稽で愉快な現象だと知る
向き合う
外に
わたしは外と向き合う術をいつくか得たが大抵は苦痛を伴い必ずしも最適解とは限らない
着地点
吐き出した物を集めては食べ
咀嚼する
自分のための咀嚼は形容し難い幸福の味
あらかじめに塩を振り
食べて
食べて
ぶち撒ける
食卓では今日も
吐瀉物が社会と交差すべく会話に勤しんでいる