メリーゴーランド 鯖詰缶太郎
ただ
あなたが
好きだった
ケーキを
食べ散らかし
すっかり煤けてしまったクリームを
口の周りにつけた私は
断線したコードが
身体にからみついている
何十人もの
電気屋たちの
嘆息で
いろどられ
ライトアップ
された
観覧車を眺める
食欲をそそるような
まるい
橙色が
網膜に滲んだ
もう
僕は
誰も
疑いたくないし
もう
誰も
強く
嫌いたくないのだ
あなたのいないところで
あなたのあいするひとを
ひぼうちゅうしょうする
ことですら
じこけんおで
しにたくなる
私の
作った
爆弾
あなたは
好きだ
と、言ってくれた
その爆弾は
一億年間
誰の涙も
染みこまなかった
遺体のように
私の手にぶらさがったままだ