誰だっけ 晶子
小さい時に
泣いていたら
パパでもママでもないのに
抱きしめてくれたのは
誰だっけ
今も辛い時
心に浮かぶ
言葉を言ってくれたのは
誰だっけ
名前も顔も
覚えていない
もともと通りすがりの人かも知れない
嫌なことが続くと
もういいやと思う
面倒くさいと思う
倒れてしまえと思う
終わってしまえと思う
でも
春風のように
気がつけば
そばにいる
あなたの気配
姿形は見えなくても
諦めきれないほど
確かなあなたの温かさ
あなたという人の温かさの記憶
寒い道を人に紛れて歩く
いつか誰かの誰だっけになるために