ある気配 エイジ
毎朝 一人で散歩しているけれど
誰かが付いてきているような気がして
私は二度、三度立ち止まって
ふと後ろを振り返ることがある
振り返っても降り返っても
そこには誰もいない
だが何者かの気配はあるのだ
冷たい朝の背中に気配を感じる
背筋を伸ばして何事もないように歩く
その背中に何者かの息のようなものを感じる
いつも僕がこうして毎朝 散歩しているのを
誰かに感づかれたのだろうか
よくよく背中に集中してみると
誰かに見られているようにも感じる
でも一体この公園のどこに
人を視るような所があるだろうか
ある時 一層強く背中に何者かの念を感じた
僕は怖くなって一目散に家に逃げ帰った
家に着き やっとのことで落ち着いて
自分の部屋で休憩しようとした
すると僕の部屋に古くから置いてある
仏壇の扉が開いていたのに気が付いた
覗いてみると金の観音の置物が一体あり
その前にはお経が書かれてある
縦長の表紙が付いた本が置かれている
久しぶりに見つめる中の様子
僕を毎朝見ている者の正体は
お父さん!あなたですか?