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スレッドNo.1520

凧揚げ

お正月の真新しい空に
凧をあげる子供たち

遠い空を泳ぐ凧を眺めながら
たとえば心のようだとおもう

遠い未来や過去を思うほど
遠くの人を思うほど
ピンと張る糸

消えそうな雲を求め
凧はずっと張り詰めたまま
気まぐれな風に怯えている

地上と引き合いながら
安定しているように見えても
それは永遠じゃないから

足元の石ころにバランスを崩し
糸が複雑に絡まってしまう
その前に
心を手繰り寄せよう

そうして
風に鼓動する凧を掴むように
冷えた鎖骨に手を当てて
確かな日常を思い出そう

リビングにある
林檎の清々しい匂い
縁側で爪を切るときの潔い音
両手を温めながら飲む苦いコーヒー

そういうものたちが
ささやかに
わたしに寄り添い
わたしを形作っているのだから

この手が届くものたちを
愛おしむことさえできればと

無邪気に凧をあげながら
走りくるあなたを
ふわりと
風ごと抱きとめる
 

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