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スレッドNo.1570

レインボウ・バレンタイン  エイジ

夜明け前の空にぽっかり半月
水仙の花が恥ずかし気に群れ咲く頃
撫子の蕾はようやく花開く
陽は悠々といつもの道を登ってくる
日の出と同時に僕らは散歩に出かけた

暗雲が立ち込めたと思ったら
いきなりのにわか雨
災難だなと君と顔を見合わせていたら

雨あがりの西の空から
十四色の色鉛筆で描いたような
きめ細かい虹が空にかかった
 あり得ない!
君は思わず叫んだ
僕はほくそ笑んだ

 そう言えば今日はバレンタイン
 君に虹を捧げよう
 レインボウ・バレンタインさ
 君にあの虹全てを

 すぐに消えちゃうんじゃない?
 それより何馬鹿げたこと言ってるの?
君はきょとんと呆れ顔
 空のペットボトルの中に
 風と共にしまっておくよ
 それと今日の君との思い出と

その時 君は全てを理解して
僕を抱きしめてくれた
それは僕の詩的な洒落だということ
僕らは駅前の椿通りを回り
上機嫌で帰宅した
バレンタインデーの朝の出来事

君の右手には
一本のペットボトルが握りしめられていた

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