荻座さん、秋冬さん。 三浦志郎 2/15
荻座利守さん
免許皆伝、誠におめでとうございます。
荻座さんについて、まず語るべきは力量としての作風でしょう。雄渾、男性的、彫りの深さ、といったもの。初期には論理偏重気味でしたが、しだいに風景・心情ともバランスしてきた。それらが格調高い詩行によって現出されます。すでにワールドがあります。最近では豊富な知識も詩のモチーフに加え、新しい詩行スタイルにも挑戦されています。評者として「今回はどんなふう？」といった興味がありました。皆伝をきっかけに、さらに世界は広がっていくでしょう。期待したいですね。
秋冬さん
免許皆伝、誠におめでとうございます。
秋冬さんの場合、荻座さんと作風は少し違います。日常性。しかし、それは低次元ということを全く意味しません。むしろ、詩の悉くが日常性から発想され出発していくことを銘記すべきでしょう。秋冬さんの詩は見事に地に足がついている。腰がしっかり座っています。だからこそ、抒情も活きるのです。ペーソス・シニカル・ウイット・ユーモアも安心して乗せることができます。詩の向こうに、しみじみとした人格の気配を感じます。これからも人間風景を描いてください。
今回のことがあって、２年前から現在までの記録を眺めていました。人々の出入りが様々にありました。お二人の掲出量は突出しておりました。継続性ということも今思っています。その中で、地味ながら堅実に積み上げていったものがあったのです。お二人の歩みの後ろを結果が歩いていました。今、結果も追い付き並び、成果となり、同一人格になったのでしょう。お二方、同期といった趣きもあって、微笑ましい。
おめでとうございました。
