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スレッドNo.1592

感想と評 2/10~2/13 ご投稿分  三浦志郎  2/17

お先に失礼致します。


1 妻咲邦香さん 「今」 2/10

これは一種のラブソングと見ました。ただ、但し書きがついて、今の自分を「貴方」に見せるにあたって“自分へのシニカルさ(あるいは自嘲?)を含んだ”ラブソングという、ひとひねりも、ふたひねりもあるもののようです。そこに、まず妻咲さんらしさを感じました。これは「ピックアップ評法」(たった今、勝手に名付けた 笑)というもので、まず最初は「~のような」の部分を除外し、それ以外を肝として抽出して読んだ結果であります。さらに核を探すと「形のあるものはみんな」~「底で淀んで」にありそうです。きっと何かがもどかしいのでしょう。ここからは推測ですが「心の感覚=言葉」にはけっしてならない、半分くらいしか伝わらない、その落差。それらが原因して、冒頭3連に見る、どこか逡巡するような言動になったと思われます。「それはまた今度でいい」に見る気弱さ・気後れは、全て終行に係ってくるように思う。ちなみにひょうきんな擬音「ぷっぷかぷー、ぺっぺけぺー」はけっして楽しいのではなく、逆で“哀しみの擬音”と取るべきでしょう。あるいは哀しみを吹き飛ばす強がりの擬音に響きます。最後に直喩について触れておきます。これらは”後付け的”と書いてしまうと、失礼で身も蓋もないので、言葉を選びましょう。まさに妻咲さんらしいフリーハンド的感性で綴られ、本作を補強、装飾しております。とりわけ「大好きだったお店」から「私のように」までが顕著です。非常にビミョー、スレスレの部分を書いている気がするんですが、やっぱり、この詩の思いは終連に集約されるようです。 佳作を。


2 晶子さん 「我が子へ」 2/10

利害打算もなく、奇もなく衒いもなく、額面通りの作品です。「額面通り」とは、この場合、心情を素直に率直に伝えることでしょう。社会通念から言うと、子より親のほうが偉い、又は優位にいるのが普通ですが、この詩では親が一歩引くことによって、子どもに伝えようとしている、そんな姿勢が感じられるのです。さて、お子さんがいくつくらいか、小・中学生で女の子、そんな気がしています。
やはり終連の具体例が一番おもしろいのです。「失敗したお弁当」とは、そもそも如何なるものか、
心配なような、興味があるような……。プライベート寄りな微笑ましい作品です。これ、お子さんに見せるのはちょっとテレくさい、恥ずかしい。ここなら大丈夫。全然構わないですよ。好意をもって、評価は外しておきましょう。


3 エイジさん 「春はまだ遠く」 2/10

そうですね、まだ遠いですねえ。私事ですが、僕は週2日はこの時間帯に仕事に出るので、この詩の情景がよくわかり、共感が持てるのです。これを書いているのは2/17。なぜこれを書くかというと、日の出、日没はこれから刻々動いていくからです。地域によってもわずかに違いますが。
本日は……(東京標準)

日の出……6:27  日没……17:25 ――――といった具合です。

この詩はまずまず「今」をピンポイントで捉えていると言えます。3連は直喩ですが、リアリティがあってなかなかいいですね。全景から入って特定の場所をセットする。「7:03」――そうですね、(この詩のように)こんな感じです。だいぶ明るくなっている。ここは写生的に風景展開していきます。

2連(夜明け前)→7連(7:03)の時間の動かし方
全景→丘の頂上→自分の足許 の「場」の動かし方

これらに見る時間・場面の動かし方、そういった構成の妙を今回は感じました。
プラス、その時の気分でしょうね。 あと、初連をもう一度持って来たの、僕 好き。 詩が締まってくる。センスでしょうね。 甘め佳作を。

アフターアワーズ。
コカ・コーラ! さすがにまだ寒くない!?


4 荻座利守さん 「ウァレンティヌスの泪」 2/12

2月14日、バレンタインデーの起源を語る。解説書風な詩です。そこはそれ、荻座さんのことですから、あくまで気高く、格調を以って語られます。主旨となるのは、2月14日が聖ヴァレンチヌスが処刑された日だそうで、恋人たちの守護神である聖人を讃えるといった点でしょう。その周辺が詩の前半。後半が今に引き継がれた伝統のこと。3連目3行が利いてますね。愛への不撓不屈の精神です。やはり3~5連あたりが肝になるでしょう。後世への伝わり方です。聖人が泪を流したというのはこの詩のオリジナルで、それがひとつの伝え方の媒介になっているのは注目していいでしょう。 愛の日をいにしえから掘り起こし、それにふさわしい賛歌に仕上がりました。荻座さんにとっては標準作ですが、皆伝後にふさわしく御祝儀佳作を。

アフターアワーズ。
日本では女性が男性にチョコですが、他国では男性がプレゼントしたり、互いにプレゼント交換したりするようですね。チョコというのは神戸の製菓会社「モロ〇フ」が販促したのが始まりのようです。 2/14にラジオ聴いてたら、アナウンサーもこの話(ヴァレンチヌスさんのこと)してました。


5 埼玉のさっちゃんさん 「リノベーション」 2/12

少し久しぶりでした。お元気そうですね。
さて、本題ですが、その前に「リノベーションとリフォーム」の違い。これが案外似たり寄ったりで難しい。この詩に沿って解釈するならば、「性能・価値をよりモダンに創造的にする大規模修復や刷新」とします。これすなわち”埼玉のさっちゃん家(ち)“にまつわる実話かもしれないし、ふと街を歩いていて、そういった風景に出会ったのかもしれない。読んだ感じ、どうも後者のような気がしてます。 この詩、「場所となってゆく」を境に軽く区切ることができそう。前半は建築~リノベによる「温故知新」とでもテーマ付けられそうです。そこから導き出される活気、新たな装いや価値観。いい感じに詩が進行してます。後半はそういった効果を「コミュニケーション」と捉える。
「どんなのが出来るだろう?」―想像することは夢であり、その過程を詩という言葉にすることによって、現実に建物として叶えられていくことが理解されるのです。佳作半歩前で。

アフターアワーズ。
最近CMにも登場して、広域区になりつつある某建築会社があります。本社は埼玉で、僕が現役時代、仕事で埼玉に行っていた頃、よく看板や営業所を見かけました。リノベーション、得意そうです。


評のおわりに。

最近、ラジオを聴く場面が割とあります。新メディアが続々栄えるこの時代に、よく生き残っているな、と妙に感心しました。それは言葉そのものであり、音楽にも限りなく近いからでしょう。「聴く書物」とも言えるし 「~ながらメディア」でもあるし……。 では、また。

編集・削除(編集済: 2023年02月17日 18:52)

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