塵箱の中 侑輝。
ツルを折った
カブトを折った
シュリケンだって、折ることができた
金色の折り紙は、大切な時に使おうと思った
金色のツルを折ることはなかった
金色のカブトなんて、きっとカッコよかったんだろう
金色のシュリケンはよく飛んだだろうに
後悔しているなら今折ればいい
なんて、そんな話じゃなくて
賞味期限切れの卵
それは高価だった
後で食べようとしていたら、いつの間にか賞味期限が切れていた
まだ食べられた
けど食べたくはなかった
卵は捨てた
では、欲は
抑えつけてなかったことにした欲
知らぬ間に忘れてしまっていた欲
あえてとっておいて、しまっていた欲
いつかどこかの孤独な夜に、それはあなたに刺さってくる
ツルもカブトも、シュリケンだって捨てた
金色の折り紙は、使わずに捨てた
大切な時に使うということは、使わずに捨てるということだった
そんな塵を大切にする必要などなかった
本当は塵になる前に大切にしなければならなかった
こんなに静かで孤独な夜に、そんな記憶が私に刺さる