まぁいいよ エイジ
未だ寒い如月に
咲いていくのを尻込みしている
朝霜の中に隠れた
オオイヌノフグリの花を
しばらく見ていた
そんな僕を君は不思議そうに見ている
朝焼けの茜色がまだ残る空を仰ぐと
冬枯れた木の枝に
あまり見かけない鳥が一羽
止まっているのを見つけて嬉しかった
そんな僕に飽き飽きしたように君は
「早く行きましょう」
公園を一回りする間に
何時まで経っても
君を見つめない僕に
君はすっかり呆れたけど
最後は「まぁいいや」と許してくれたね
あれから一年経ち
僕らは大学へ入学した
朝の公園の散歩中
君と未だ手を繋ぎもしない僕と
君はまだ一緒に散歩してくれていて
「まぁいいよ」と許してくれる
こんな僕だけどこれから先も
一緒に散歩してくれるかい?
「まぁいいよ」
*
どうしてふてくされているの
僕の方を見てくれよ
さっきから話しかけているじゃないか
どうして無視するの
そうか公園で僕が相手しなかったからかい?
ぺたんと床に横座りする君
疲れ切った魚のように
君はあまり動かない
顔を背けて無言だ
今日は僕が紅茶を入れてあげる
君は角砂糖2つだったね
君の怒りを溶かすように
ゆっくりと解けていく2つの角砂糖
僕はいつものストレートティー
君はゆっくり髪を梳かす
川のように流れる君の髪
白いレースのカーテンが微かに揺れる
午前の淡い光に溶け込む君の姿
化粧水でぷるぷる潤った君の肌
そうだ紅茶にレモンを添えてあげよう
どうだい美味しいかい?
化粧水とレモンの柑橘系の香りが
混ざってプンと鼻をつく
ねぇいいだろう
もうそろそろ
微笑むぐらいは