遠くから 大杉 司
遠くから聞こえるのは
銃声だ銃声だ
悲鳴だ悲鳴だ
絶え間なく聞こえる
強く鳴り響く
助けの声
祈りの声
次第に消えていく
人は仲良くあるべきと
誰かが云ってはいたが
そんな面影は無く
そんな義理も無く
手を繋ぐことを忘れ
分かり合うことを恐れ
自己中心に陥ることを苦としない
そんな世の中だと僕は思う
今もなお
軽快な足踏みとともに
ラッパの音に歌をのせながら
兵隊は戦地へ向かっている
それ以上に
聞こえてくるのは
悲鳴だ悲鳴だ
助けだ助けだ
祈りだ祈りだ
絶え間なく聞こえる
遠くから