2023/2/28(火)〜2023/3/2(木)の感想と評になります 齋藤純二
夾竹桃咲く作並木道で 森山 遼さん 2/28
夾竹桃って「油断大敵」「危険な愛」「用心」という花言葉があるようですね。花は詳しくない私なので、この作品を感じるためにちょっと検索してみました。毒が抽出できる植物ということで、花の可愛さに反してなんか怪しげな感じですね。
「静かに遠く」この時間というか距離をおく表現がめちゃくちゃカッコいいですね。
こちらの作品は語り部と君との関係性の中で、何かあったのでしょうか。どちらかと言うと語り部の君への思いが書かれているのかな、と思います。前は親密な関係であったのだろうか、鼻髭をいじってみせる少女、離ればなれになった親子だろうか、それとも……。
君を楽しませることが出来なかった語り部は、今ではそれも幻の時間だったのだろうと考えながら拝読しました。うーん、ごめんなさい、情景と語り部の感情がよくわかりませんでした。拝読して読者に想像させて楽しませるなら作品でしたら、構成、言葉等を広範囲設置し、もっと意味深になるようにしつつ(逆にもっとわかりづらく)、バランスが取れた感情を伝受させることを念頭に入れると、いい感じになるかもしれませんね。
それとタイトルの「咲く作」は「〜咲く咲く」なのかな、読み方がわかりませんでした。
評価は「佳作一歩前」です。
春 紫陽花さん 3/1
三連わけの作品になっていますね。
一連の出だしがとても素敵な世界が広がっていまして、春が溢れ出す様子がうまく描写されています。ここで「金の蛇口」がいい演出をしてくれています。とは言いつつ、この蛇口はなんだろうとなりましたけど、私は雪を春が溶かしてくれるというのが、柔らかな手でまわすってことなのかな、と拝読しとても気持ちいい気分にさせてもらいました。言葉のリズムもいいですね。
二連。さあ、暖かくなって来ました。さあ、やるぞ、と起こされて。
三連。春のぽかぽか陽気、私も浴びたいっ。
ここで現実生活に絡んだ内容となります。三連の内容は構成的にはいいと思います。さあ、我が家も春だぞ、とはなやかな感じがします。ただ、一連の語りが素晴らしかったので、三連がちょっと説明的な表現がもったいなかったですかね。なので、ここをもうひと工夫して推敲されるといいでしょう。ご一考くださいませ。
評価は「佳作一歩前」です。
がんばれ じじいじじい さん 3/1
がんばってきたからつぼみから花へ。花たちが仲良くお話し。そして、まだ咲かないつぼみ、これからの花を応援しています。誰でも大きくきれいな花をつけられるのだから、がんばれという大人から子どもへのメッセージになってますね。大きくなるために切磋琢磨しながらお互いを高めていってね、と。梅の花に子どもたちの様子を被らせて構成されているところが上手ですね。
これは好みかもしれませんが、連わけが語りと会話は分けた方が拝読しやすいと思います。
例えば一連、二連。
ポツンポツン パッパッ
うめのはながひらいたよ(ここだけ「さきだした」だと表現がかたいかな)
うすいピンクのかわいいおはな(語り部)
わたしのほうがおおきいよ(子どもの声)
ボクだっておおきいよ(子どもの声)
さいたばかりのおはな
おしゃべりなかよし(語り部)
何度か拝読していまして気づいたことは、こちらの作品は子どもへのメッセージと、大人側へ子どもをもっと応援しようというメッセージもあるのかな、と思いました。ご飯を食べて日に当たりなさい、題名も「がんばれ」で応援するのは大人という設定になっています。子どもとおとな、ハーモニーが良かったです。
評価は「佳作一歩前」です。
僕は徒に言葉を空っぽに埋めていく ロンタローさん 3/2
世間では春爛漫ってところでしょうか。その生命力に反して何だかアンダーグランドに自分がいるようですね。モグラをイメージして、人でいうと引きこもり的な暮らしをしているか、時に流されて生かされているような感じですかね。とは言いつつ、地上では「デタラメな歌をうたい」と語っていますので、自分の生き方がもともと世間とは合わない、といったジレンマもあるようです。しょうがなく時間という空っぽに、今の思いを言葉として埋めているのでしょう。すなわちここはこの作品ってことでしょう。
世間の「春うらら 夢うつつ」という鼻につく歌が聞こえてくる構成が後半にあり、自分の「ただ意味なく」歌のハーモニーが不協和音となっているところが興味深く拝読できました。
出だしのカッコいいフレーズに対し、ちょっと後半がもの足らない感じです。空っぽに埋めていく言葉をあとニ連、三連と増して着地、ないしはフェイドアウトしていくともっと読みごたえのある作品となるでしょう。
評価は「佳作一歩前」でしょう。
。。。。。。。。。。
花粉が………
悲しくもないのに鼻が出て、涙が出て……
春なのに♪