君を知らない cofumi
君が
「あのことが」 とか
「その後ね」 とか
草木さえも思わず振り向くような
チャーミングな声で言っても
僕には、あの も その も
皆目わからない
置いてきぼりを食らっているようで
不器用な僕はふりをする
腕時計を気にするふりを
でも、これは僕の時計で
僕の時間を刻んで
君の時計ではない
君がパジャマに着替えるタイミングとか
靴を履く順番とか
夜歯を磨いて寝るのかとか
君がいつ桜のような爪を手入れしたのかとか
あー僕には
。
。
。
皆目わからない
こんなに胸が苦しいのは
アイ、ラヴ、ユー
という自分の気持ちを
知っているからに
他ならない
それだけが真実で
僕が知っているのは
自分のことだけ