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スレッドNo.1734

幸せ  侑輝。

学校の帰り道、石を蹴る
石を蹴って歩く
ゴールは、家

石が転がる
石を蹴る
また転がって、僕は蹴る

石が転がる
石を蹴る
また転がって、僕は蹴る

転がって蹴る
転がって蹴る
転がって

あ、溝

別の石を見つける
それを蹴る
転がってまた



石が欲しいのなら
石を持って帰りたいのなら
石を拾うべきだったのに

あれ
僕は石が欲しかったのだろうか

嫌だな
これじゃあ意志がないみたいだ

今、僕が蹴っているものは何だろう
僕が蹴ってきたものは何だろう

そこら中に落ちているそれは、

幸せ?

幸せを蹴る
幸せを蹴って歩く

ゴールは
ゴールは

幸せが転がる
幸せを蹴る
また転がって、僕は蹴る

幸せが転がる
幸せを蹴る
また転がって、僕は蹴る

転がって蹴る
転がって蹴る
転がって



別の幸せを見つける
それを蹴る
転がって

あーあ

嫌だな
幸せを追いかけているみたいだ

幸せが欲しいのなら
幸せを持って帰りたいのなら
幸せを拾うべきだった

「いつか拾うから」

あれ
あんなにあったのに
僕は幸せが欲しかったのに

初めて僕は顔を上げる

空より大きな入道雲
その下の長い一本道
そこに立っているその背中が眩しい
誰だろう

ああ、そこにいるのは僕だった

そんなことに気付いた
僕は振り返る
これまで歩いてきた長い長い道

どうしてこんなに歩けたのだろうか
蹴り続けた石のおかげ?
蹴り続けた幸せのおかげ?

空より大きな入道雲
その下の長い一本道を歩く僕の背中

それは確かに眩しい

空より大きな入道雲
その下の長い一本道を歩く僕の姿

それは確かに幸せだ

僕はこれから再び歩けるのだろうか
入道雲とすれ違って雨が降っても、誰かが傘をくれるのだろうか

別の幸せを見つける
僕はそれを、蹴る
幸せが転がる
僕はまた歩き始める

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