岬へと 妻咲邦香
絵を描くの
絵筆を掲げて
何処までも行くの
何でも描くの
好きなの嫌いなの
全部並べて
遠ざかるように見えるのは
探してた道を見つけたからよ
さよならを言わないのは
まだ好きな気持ちがあるからよ
九番目の波が教えてくれた
愛せぬものなどこの世には
ある筈がないと
絵を描くの
追い風に押され
とっくに走り出してるの
夢中なの
ずっと描いてるの
何者にもなれないとして
誰とも同じ道は行けないと
気付いてしまった今日の日に
もう見えないの
憧れ以外は
見えないの
私の人生以外は
だから描くの
絵筆を振り回し
足跡ばら撒いて
遠い浅瀬
雲が導く岬へと