世界のどこかで 朔音
世界のどこかで沢山の人が亡くなった
世界のどこかで沢山の桜の花が散った
亡くなった人たちを人々は悲しんだ
何処かで散りゆき亡くなった桜たちを
人々は喜んだ
もし桜が人だったら
もし人が桜だったら
人々は何をどう思うのでしょう
花と人と比べないでというのが
正しいのだろうか?
桜は文句も言わず悲しみもされず
亡くなっていく 散っていく
さぁ楽しんで
アタシ達の最後の姿をといわんばかりに
桜吹雪は舞い踊る
これがアタシ達の喜びなの
悲しまれず 散っていくその様まで
美しいといわれるのは
アタシ達の特権
生き抜いてる人々へ
死してしまった人々へ
桜はおくる どこまでも
綺麗と言われなくなるその日まで
最後の最後の瞬間まで
あっ桜だ、と
見つけられて喜びを得たい
雨にぬれて茶色がかった花弁は
誰にも見られず
そっと風に吹かれたい
何処か何処か遠くへ
美しいと言われたアタシ達だけを
人々には覚えていてほしい
知っていますか?
これから桜の木は万緑を
力強く咲かせていくことを
知っていますか?
命は巡る
それもまた力強い