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スレッドNo.1750

評、3/3~3/6、ご投稿分、残り。  島 秀生

「労働組合の組織率がなんでこんなに低いんだ」と言ったのは、意外にも2、3ヵ月前にトヨタの会長から出た言葉です。
なぜトヨタの会長がこんなことを言ったのか、なんとなくわかります。自動車業界は昔、アメリカに輸出しようとして、アメリカから物凄いバッシングを受けましたからね。それで現地法人、現地雇用ということを会社として徹底してやりましたから、この人は経営者ながら雇用の重要性にはすごく認識があるのでしょう。
いま春闘やってますけど、春闘に絡んでる労働者は大手ばかりで、労働者全体に占める割合は意外に少ない。非正規労働者が労働者の3分の1を占めるようになり、「春闘なんて、私らに関係ないこと」と思ってる非正規や中小零細の労働者はすごく多い。そもそも労働組合から漏れてる労働者って、今すごく多いんですよ。
そのあたりにもっと陽が当たらないと、日本の経済は、本当の活力を取り戻さないと思う。

なんでか理蝶さんの詩を読んでて、こんなでかい話に、思いが至ってしまいました。(評からすっかり脱線してるんですけどね)


●喜太郎さん「ファーストキス」

えーーーと。
ちょっと抵抗したのは「ああ.....」だけですね。
あとはやられ放題やな・・・。

まあ、男性より女性の方が成長が早いのは、昔も今も変わらんなあーと思いました。

多少の創作があるのでしょうけど、伝わる実感があるので、たぶん似た経験があるんでしょう。あるいは、すごく身近で聞いたリアルタイムの話かもしれない。
いや、ちょっと出来すぎてるから、もしかしてドラマなのかな・・・・・・? だとしても、この生々しさは、完全に自分のものとして消化・昇華できてると思える。だからOKです。

これ、逆に美文だったら、創作っぽさが見え見えになるんだけど、ある意味、美文じゃなくて、文体にたどたどしさがあるのが、妙にこの話とマッチするんだよねーー。
これ、文体と中身、奇跡のマッチングかもしれません。とうことで、秀作プラスにしておきましょう。(たまたまですよ。)


●やまうちあつしさん「琥珀」  

琥珀のことは私は調べる機会があったのでたまたま承知してるんですが、ふつうここまで知らないので、少々説明的でも前半部は書いていいと思いますね。特に化石資料としての価値のところは、その後の詩の本論に関わる部分ですから、書いてOKですね。

また後半、いろんな表情を書いたあとで、「樹脂が宝石化するような長い時間の中にあっては、どちらであっても同じようなものなのだろう。」の言葉は、時の流れの中の真理を突いているようで、非常にいい言葉だなと感心しました。

問題は着地だけですね。どこへ着地させるか、なんですが、

 こんな琥珀を贈られたときの、妻の困惑の表情が目に浮かぶ。気味悪がって、捨てられてしまうかもしれない。

と「妻」に変え、ここでもう終わってしまうのも手ですよ。
で、タイトルは「誕生石」にするのです。


すると、そもそもなんで琥珀の話を始めたのかも理由がわかりますよね。妻にプレゼントする誕生石だったから、こんな話を始めたわけです。話が全部、ストーリーでつながりますよね。こういうまとめ方もアリですよ。

やまうちさんは、私は初回なので、今回、感想のみになりますが、この詩は思考と情感の両方が、いいシンクロをしていて良かったと思います。
この詩はマルですね。


●理蝶さん「夜景」

私もあまり古い時代のことは直接知らなくて、伝え聞くだけなんですけど、昔は労働組合が出す組合員による文芸誌なども結構あったそうです。旧国鉄時代の話ですが。私は詩誌のことしかわかりませんが、今は全国を見渡しても、そういった組織による詩誌はないんじゃないかなと思います。「労働者文学会」も「日本農民文学会」も健在なので、全国組織のものとしてはありますけどね。
ただ、文学史に残る作として、昔のように労働者サイドから生まれたものとなると、近年、これというものは確かにないかもしれません。

いちおう「彼ら」と複数形でこの詩は書かれているので、個人や一部のことでなく、全体の見渡しとして、そういうことを思ったりしながら読みましたが、ちょっと脱線したかな。

詩の「彼ら」の中には作者もいたようで、ストーリーはだんだん自戒へと向かっていきます。

 飼い犬が寄ってきて
 餌欲しげに尾を振る
 これと自分の何が違うのか

この詩行のフラストレーションが、この詩における情感のMAXに思います。ここが一番印象的ですね。

いつも思うんだけど、いくら通販で便利になっても、最後はドライバーが、暑い日も寒い日も走ってくれてる、それを忘れちゃいけないなと思う。

「地にへばりつく労働の星が/涙を流すような光」、いい言葉だと思う。このフレーズ、フレーズだけで泣けます。

えーーと、少しあります。
ちょっと、どこからどこまでが「彼ら」で、どこから「自分」なのかの別。
それと「彼ら」を批判してもいいけれど、結論として批判したいのか、賛辞したいのか、そこもちょっとわかりにくかったかな。

もしかしたらこれは、自分の将来像を迷ってるだけなのかもしれない。だとすると、その割には自分がその現場にいて、知ってるかのように踏み込んで書いてるのがちょっと怪訝。2連を、「彼ら」を主語で書いてるとこね。

そのあたり、若干すっきりしないとこあるんで、とても興味深い詩だけど、秀作プラスにとどめましょう。

終連なんですが、後ろの2行、急に山道を出されてもなあーーなので、初連と呼応する形で、終連は終わってしまってもいいと思う。

 地にへばりつく労働の星が
 きょうも光る
 目的のため ただ光り
 やがて遂行され消える光
 けれど全てに意味がある光

こういうのはどうですか?


●朔音さん「かける」

まずは言いたいこと、全部書くってのは悪くない。
いっぱい書いてると、「当たり」も出てきますからね。書かなきゃ「当たり」は出て来ない。

かけ(駆け)ながら、いろんなものや、ことが、あいだに挟まってゆきます。
役所の書類であったり、重たい体のことであったり、

そんなに急いでも良いことないよ
という老婆の言葉だったり、

ゼロになにをかけてもゼロなんだよ
という罵声であったり
しますが、
でも、

向き合ってくれた貴方へ
アタシはかけます
これが正解だったといえるように

この想いで応戦するようです。
作者のこの反論も良いし、「かけ続ける」雰囲気が、詩全体の統一感を作っている点も良いです。

一点だけ注文は、この詩、

そうだ
全ての事に意味があってたまるか

で、終わりにしましょう。
この言葉がステキだし、そこから後ろの「床につく話」の展開は、いらないと思いますよ。かけてる場面だけで終わりにするのが良いと思う。

これはまあ、書き切ったあとで、推敲する段階で、客観的視点でもって、後ろを切る判断をしたらいいということです。まずもって最初は、言いたいこと全部書いちゃう方法は悪くないです。

うむ、よく書けてると思います。
あれ、朔音さんも、私は初めてなのかな? じゃまあ、今回は感想のみとなりますが、この詩はマルですね。


●凛さん「月と僕と」

えーーーとーーーー
「るんとうるるん」は名前のように感じたんですけど、違うんですかね?
喜びと涙、みたいな感じでしょうか?

まあ、謎を一つ置くみたいなことはアリなんですよ。
でも仮に「るんとうるるん」が、なんらかの意味があると想定しても、1行目の「るんとうるるんとう」の、後ろの「とう」はなんなんでしょうね? これに至っては謎が過ぎます。ミスタッチにも見えるし、謎に謎を重ねてはいけないという意味でもアウトに思います。
1行目はもし置くのだとしても、他のところと同じくの、「るんとうるるん」で置くべきでしょうね。

で、他の詩行の部分なんですが、初連と2連の内容は、陽と陰の対比になっているようです。
ちょっと童話風の作かもしれませんね。陽と陰をはっきりした形で書かれているので。

いずれにせよ、もうちょっと長めに書いてみて下さい。
詩のムードというものを感じる前に、すぐもう終わってしまってる感じになっているので。
また書いて下さい。凛さんは私は初回ですので、感想のみとなります。

編集・削除(編集済: 2023年03月18日 03:44)

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