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スレッドNo.1775

霞の衣よ佐保姫を呼んで 香月

光が跳ねる
並木を跳ねる
夜雨の露に 桜の古木に
樹皮を飾った地衣類に
光が跳ねて 踊り子を照らす
濡れたコンクリートの舞台の上で

それは踊り子の晴れ舞台
春の踊り子の晴れ舞台
霞のかかる水色の空に
薄紅色の髪を泳がせ
緑のドレスを翻す
風に振られる腕樹に沿って
地衣に蒔かれたスパンコールが
きらりきらりと光を散らす
舞姫の門出をことほぐように

光が跳ねる
風に揺られるピンクの髪に

光を弾く
小枝の先に滴る雫が

雨滴に濡れた愛しき春よ
淡い薄紅のレヱスを広げ
幻の焔を灯しておくれ

光が跳ねる
ドレスを跳ねる
春の踊り子を包んだ風が
黒くうねった樹幹を抜けて
枝木の先の蕾に遊び

そしてまたひとつ春が咲く

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