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スレッドNo.1825

3月21日(火)~ 3月23日(木)ご投稿分、評と感想です。

3月21日(火)~ 3月23日(木)ご投稿分、評と感想です。


◎波 紫陽花さん

人には命があり、その命には限りがありますよね。だからいつかお別れがくる。だけど人は旅立った人の姿が見えなくなっても、こころのどこかで、見えないどこかにその人がいるって思っている。そのどこか。紫陽花さんの表現されたのは、海の最果て。

船乗りだから、旅立った今も海に住んでいるのだろうというイマジネーション。その海のどこかを「最果て」という言葉で表現されましたね。地球は丸いから「最果て」と呼ぶ場所は確定できないんですよね。まさしくこの世以外の場所のような気持ちになります。

さらに、船乗りではなく、次の場所では「波作り」になったとされていますね。寄せるさざ波とされているところに、祖父の優しいお人柄を感じさせてもらいました。そして、旅立った今も祖父と私はつながっているという想いも伝わってきました。

作中のオノマトペですが、このままでも充分ですが、思いっきり欲をいえば、あと少し個性のあるものを考えてもいいかなと思いました。

最終連の生前の祖父と私の様子を描かれた場面、「私が小さな魚のように/祖父と泳いでいたあの頃のこと」・・・・・・「小さな魚のように」がとてもよかったです。小さい子供のかわいさと、頼りなさ、無邪気さ、祖父の小さな私への愛や見失わないように守ろうとする心など、この短い言葉に凝縮されていると思いました。佳作を。



◎光る虫  やまうちあつしさん

繊細な作品だと思いました。

雲の形が変わる→パッと目でみてすぐにわからない動き。そのような微妙な動きを声の変わるさまに重ねられましたね。よいたとえだと思いました。

人生というのは、これも作者さんがたとえるような、目で見てパッとすぐにわからない動きの連続でできていると思います。そして、何かのきっかけで過去を振り返ってみたと気づくのだと思います。変わってしまったことを。変わってしまった部分をかなしく受け取るか、うれしく受け取るかは、人それぞれですよね。

四連目に登場するタイトルにもなっている「光る虫」、それは石ではなくて、虫であるということ。生きているのですよね。だから手のひらで包むとあたたかいのですね。また、光ではなくて、「光る虫」なんですよね。ここが、光が射してあたたかいとはまた違う、特別な意味合いを生みだしている点だと思いました。

そしてその温もりは消えないのですよね。この最終連の温もりの表現も繊細だと思いました。「温もりが消えない」とするのではなくて「温もりが消えなくて困っている」とするところ。虫としているので儚いようなイメージがあり、その儚い温もりが消えないで困るというイメージが湧いてきました。とても繊細な表現ですね。

四連目と五連目のとても繊細な部分。「光る虫」に関しては、全体的にみると急に出てきた感があるので、以前の連の内容のどこかと繋がりを持たせるとよいと思います。例えば、四連目の「ただ/光る虫を」を二連目の「雲の形」→空の様子にかけて、「ただ/空からしきりに降ってくる/光る虫」にしたり、雲→浮かぶにかけて、「ただ、目の前に飄々と浮かぶ/光る虫」のような感じにしても面白いのではないかと思います。儚さの中にある強い熱を感じさせてくれた繊細な作品でした。



◎夏の終わり 奈月さん

夏の始まりと書いていらっしゃるので、熱気とか強い陽ざしを感じるものになるのかと思い、読み始めましたが、予想外でした。感じたのは鳥肌の立ちそうな空気でした。そういえば、タイトルは「夏の終わり」ですね。下記に記す行為で終わりそうになったっていう意味合いにも取れそうです。

一連目。「今日は何をしよう!」と言ったのは「君」であるとして、この痛い行為をしているのは、君以外の人物であるように思えます。ですが、君以外の人物が君にそのようなことをされているようにも思えてきます。また、いじめにあって、大人に気付かれない場所で、人に囲まれて辛い目にあっているという裏メッセージと受け取れるようにも思えてきます。もしもそのような状況に遭遇した時は、絶対我慢しないで、誰でもいいので助けを求めてほしいです。と、拝読させていただいた後、そういう気持ちも浮かんできました。

いずれにしても、短い作品になっているので、人物の関係や状況を書き加えるとよいと思いました。設定がはっきりしないので、もう少し踏み込んだ方が、どういう状況なのかが伝わりやすくなると思いました。夏の眩しさとは正反対の闇が感じられる作品でした。



◎七月 森山さん

「赤い花は何」と問いかけ形式で始まる書き方。なかなか楽しかったです。ここは、読み手それぞれ、違う花が思い浮かんだりするかもしれませんね。連想する楽しみがありました。

二連目にでてくる「また散歩しようね」の言葉。ここでまた、連想する楽しみが始まります。登場する人はどんな人だろう。散歩するくらいなのだから、作中の人物は、きっと仲良しで二人組なのだろうなと。親子か、友達か、付き合っている人同士でもいけそうですね。それは読み手それぞれになりうるのかと。

話は変わりまして、二連目の「街」についてですが、この「街」は、商店やビルが立ち並んでいるにぎやかな道筋だけを表す言葉であるので、そうでない場合は「町」を使用することをおすすめします。商店街の中に続いている花壇や植え込みなどであるならば、問題ないと思います。

とってもほのぼのとした雰囲気が伝わってくる作品でした。



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桜が咲き始めました。あっという間の三月でした。あと少しで四月。色々な始まりの。
忙しくなっても無理は禁物と、心に言い聞かしつつ過ごすこの頃です。
みなさま、どうぞご自愛ください。

今日も一日おつかれさまでした。

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