猫の衣 おおたにあかり
「ナンジュウにも猫を被って
生きているんですよ」
ある人がそう言っていたのです
聞いていた詩人は手を叩いて
「何十猫って面白い!」
私は
「何重も被っていたら
さぞかし暑くて重くて辛いだろう」
気の毒で心配になりました
もし、丸裸になるのなら
キミから何十剥がして
わたしは何重脱げばいいだろうか
そんなこと考えていたら
詩人が
「これは詩になるね」
とメモを取り始め
「お役に立てて光栄です」
何十猫か何重猫か
どう書くのかわからないけれど
その人は目を細め、喉をぐるぐる
嬉し気に鳴らしているのでした
すっかり猫そのものになって