誰かを好きになった朝 朝霧綾め
人を好きになったとき
それが最初に表れるのは朝だ
スマホのアラームで目が覚めて
でも起きたくなくて
ぼんやり 白い天井を眺める
気が付いたら
「眠い。」と「起きたくないなあ。」の隙間で
笑っている ある友だちの顔を浮かべていた
確かにもともと 仲のよい子ではあったけど
その子の話し声を
心の中で再生している
憂鬱と幸福感が両立した 奇妙な状況
そのときようやく気づく
ああ、私はこの子が好きなんだ
今日は会えるかな
会えたらいいな
今まで何も気づかなかったけど
本当は私、あなたのことが好きだったみたい
だから今日はもっと話そう
前はどんな話をしたんだっけ
覚えてなくてもいいから
今日は話そうよ
布団の中の足が ぴくりと動き
そわそわしてくる
もう眠いなんて思わない
今日はあの子と話したいから
あの子の笑顔を浮かべて
外に出る勇気を得る
今日 目が覚めたとき
きっと私の
人を見る目も開かれた
新しい一日がはじまる
新たに人を 好きになった一日が