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スレッドNo.1891

春の世  理蝶

変わっていくこと
川が訳もなくその岸を削ってゆき 
岸もそれを受け入れて
川幅が広がっていくこと

変わっていくこと
人気のないの公園に手持ち無沙汰に座り込む
スーツが姿を消したこと

変わっていくこと
哀しみが鳴り止まない暮らしの中に
許されない抜け道を見つけた夜のこと

変わっていくこと
風の前に佇んだ心と川面が
同じように流れてとめどないこと
ふとその川面に桜のひとひらが降りてくること

変わっていくこと
変わっていくということ

春の夜 僕は変わっていくことに思いを馳せる
春の夜 耳をすませば冬の間固く閉じた全てが
少しずつ変わっていく音がする

変わっていくそれは考えるということ
今という場所から歩き出すために迸る血潮の行進のこと
人と人とが向かうべき幸せの為時にぶつかるということ
その衝突は美しく悲しい汗が光っていたこと
僕は忘れはしないだろう
後生忘れはしないだろう
この先何が変わっても
僕は忘れはしないだろう

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