ジャズに彩られた夜 エイジ
僕の夜は午後11時
ジャズと共に始まった
ラジオから流れるそのサックスは
先日逝去したウェイン・ショーター*1
ショーターの追悼特集だった
僕の心を今夜ジャズに捧げよう
自宅の小さなリヴィングが
ジャズハウスと化すように
耳元に 脳髄に浴びせられる
リアルなサックスの音色
土曜の夜を彩ってゆく
今夜は独りでジャズに酔う
トーンからトーンへと
空間を自在に漂うサックスに酔う
コードからコードへと
目まぐるしいアドリブの中を僕は漂う
ジャズの深淵へと誘われる
ジョン・マクラフリン*2、ギター
ミロスラフ・ヴィトウス*3、ベース
ジャック・ディジョネット*4、ドラムス
アイアート・モレイラ*5、パーカッション
そしてウェイン・ショーターの
サックスは唸る 捩れる 叫ぶ
ああ、ショーター、詩ってくれよ
詩ってくれればそれでいい
ハービー・ハンコック*6の
エレクトリックピアノが
温かい春の夜を
氷のように冷まし
夜会のエンディングを飾る
疲れた僕は一息ついて
壁にもたれながら
タバコを吹かして
辺りの風の形を詠む
土曜の夜はかぐわしい
その時胸に迫るような
ショーターのサックスが突き刺さる
今夜はありがとう ショーター
素敵な夜をありがとう
ウェイン・ショーターよ
永遠なれ
・ウェイン・ショーター*1:ジャズのテナー・サクソフォーンおよびソプラノ・サクソフォーン奏者、作曲家。グラミー賞に21回ノミネートされ11回受賞している。2023年3月2日、ロサンゼルスにて死去。
・ジョン・マクラフリン*2:イギリス出身のジャズ・ロックギタリスト。超絶技巧で知られ、ジャズをはじめ、インド音楽やフラメンコ、クラシックなどの要素も広く取り込んでいる。
・ミロスラフ・ヴィトウス*3:チェコ出身のジャズミュージシャン、コントラバス奏者、ベーシスト、作曲家。米ジャズフュージョン・バンド「ウェザー・リポート」の創設メンバーとして活躍。
・ジャック・ディジョネット*4:アメリカのジャズ・ミュージシャン、ドラマー、ピアニスト。トニー・ウィリアムスの後任としてマイルス・デイヴィスのグループに選ばれる。『ビッチェズ・ブリュー』や『オン・ザ・コーナー』などの歴史的名盤に参加、いわゆるエレクトリック・マイルス・サウンドの構築者として録音をのこしている。
・アイアート・モレイラ*5:ブラジルのミュージシャン。パーカッショニスト、ドラマー。1964年にクアルテート・ノーヴォとして録音を残した。渡米後、マイルス・デイヴィスのアルバム『ビッチェズ・ブリュー』へ参加したのち、ウェイン・ショーターのアルバム『スーパー・ノヴァ』、ウェザー・リポートのファースト・アルバム『ウェザー・リポート』等、フュージョンの名作にも参加している。
・ハービー・ハンコック*6:アメリカ合衆国イリノイ州シカゴ出身のジャズ・ピアニスト、作曲家、編曲家、プロデューサー。1960年代以降から現在において、ジャズ・シーンをリードするジャズの第一人者であり、ストレートアヘッド・ジャズ、フュージョン、ジャズ・ファンクなど多彩なジャズ・スタイルの最先端を走っている。