実存と虚無のはざまに エイジ
実存と虚無のはざまに
残された人々の足跡を
辿りながら熟考する
実存と虚無のはざまで
揺れ動く私の心
俯瞰して自分を見つめる
やはり
自ら意味を生み出さなければ
自ら世界を意味づけなければ
自ら行為を選び取らなければ
それとも
太陽が輝くのに意味はあるのか
この広大な宇宙に意味はあるのか
人の人生を生きる意味はあるのか
私はおもむろに椅子から立ち上がり
両腕を組みながら公園へと向かった
公園のレストランの前に立つ
一本の桜の木を見つめていた
悠久の時を生きてきた桜の木
毎年春になればペールピンクの花を咲かし
人々は花見だと言って周りで酒盛りをする
桜の木はそんな喧噪には無関心で
ただただ懸命に己の生を生きている
花が散れば緑々とした若葉をつけ
秋になれば赤く紅葉し
冬は枝だけになり寒さを耐え抜く
私は思った
私は自分の与えられた生を
懸命にただただ生きるべきだ
実存か虚無かということより
成し遂げたい事がいくつかある
やり抜くべき事がいくつかある
残りの生を懸けて
それらを成し遂げようじゃないか
僕は桜の散り落ちた若葉を手に取り
ふと来た道を足早に引き返した