水曜スペシャル やまうちあつし
白紙の中に
生息する生き物がいるという
じっと眺めていると
時折飛沫があがる
私はペンを取り捕獲に向かう
簡単にはいかない
生き物はペン先をすり抜けて
縦横無尽に泳ぎ回る
手を変え品を変え
釣り上げようと試してみるも
こちらの奮闘をあざ笑うよう
そして私は
今日もふて寝するのだ
水曜スペシャルなんて
信じなければ
と
みせかけて
買ったばかりの万年筆を
はてしない比喩よ
きぜわしいオノマトペよ
現れたのは一頭の白馬
魚だとばかり思っていたが
立派な鬣に蹄
おだやかで黒い瞳
背中には純白の翼まで
とらえてみれば大人しい
初めから全部
決まっていたかのように
紙の上に佇んでいる
かくして週末が終わる
来週もまた
詩人を名乗ってしまおうか
水曜スペシャルを信じて
本当によかった