チャイムがなる頃に 理蝶
夕暮れた充溢した魂は
鉄箱に入れられ今カーブを曲がる
煙突に登る煙が
どこまでもたなびく先を見飽きたら
僕の居場所に近づいた頃
河川敷に寂しく描かれた放物線は
やがて煤けたグローブに収まり
また放物線が描かれるのを待たずに
次の景色が流れてゆく
空は宇宙の縁とこの星の光が混ざり合い
どこかロマンをくすぐるような
秘密めいた青さで
紙飛行機が本当にこの星を飛び出すと
信じていた日を思い出す
窓がある いくつもの
通り過ぎる いくつもの
枯れた観葉植物 揺れる洗濯物
微かに震えるガラス 窓際に据えたベッド
高く鳥は鳴き 稚児は空を見る
彼はまだ退屈と恐怖を行ったり来たりする
そしてもう少ししたら
紙飛行機はこの星を飛び出すと信じるようになる
この繰り返しだ
この繰り返しは
いつまでもいつまでも
続くのだ
魂を入れた鉄箱は速度を落とし
少し停止する
魂は交差し散り散りになる
そしてまた鉄箱は動き出す
それぞれの居場所に帰った魂は
新しい魂を抱きしめ潤し耕している
内側から吹く退屈も
歯が痺れるような緊張も
それでいい そのままがいい
全てはこの星に受け継がれる
暖かく崇い繋がりのために
魂は彷徨い出会い
残しまた彷徨う
この繰り返しだ
この繰り返しは
いつまでもいつまでも
続くのだ