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スレッドNo.2131

介護の現実

もとより
親に育てられた自分であってみれば
考え方も感じ方も
親と似ていて当たり前

「穏やかな心で
 誠実に人と接し
 悪口を言わない」
そんなモットーで生きてきた母親を
ごく当たり前のように尊敬してきたし
自分もそうありたい、
いや、そればかりか
自分も十分に誠実な人間だと
うぬぼれていた

ところが
米寿を目前にした母が
とつぜん大腿骨を折ってしまったその日から
歯車がすっかり狂いはじめる

不幸中の幸いで
手術もうまくいき
あとは、しっかり病院でリハビリすれば
もとのように歩けそう…
周りが喜んだのも束の間
なぜか母がリハビリを拒否して
「もうこれ以上どうしても
 病院に居たくない!」
そう言って聞かない

「あのね、母さん
 入院が長くなって
 つらいのはわかるけど
 せっかくお医者さんや看護師さんのおかげで
 ここまで元気になったんだから
 あともう少し入院して、リハビリがんばろう」
「絶対にイヤ!とにかく家に帰りたい
 いつまでもこんなところに押し込んで、
 お前たち、よってたかってわたしに何する気なの!」
いったいどうしたというのだろう?
別人と入れ替わってしまったのだろうか?

やむを得ず
病院から家に連れ帰った後も
見知らぬ他人は母の中に居座り続ける…
わがままを通り越して
傲慢で
猜疑心が強く
誰彼となく悪口を言う
手に負えない隣人だ
誠実がモットーだった人の
優しい面影はもうどこにも見当たらない

寝たきりになった母の介護を続けながら
なにもかも骨折と高齢のせいだとは
頭ではわかっていても
恐ろしくも悲しいことに
母に対していつの間にか憎悪を抱いている
そんな自分に気づいてしまう
わたしの「誠実」とは
しょせん、その程度のものだったのか?

ただ
もし仮にこの人が
まったくの赤の他人であったなら
愛憎の狭間で苦しむことも
複雑な感情に悩むこともなかったろう
親子だからこそ、
これまでの思い出に囚われすぎて
却って母も自分も追い詰めてしまってはいないか?

お互いに似ていなくてもかまわない
ごく最近出会った同居人のように
あまり期待しすぎることなく
ゼロから始めるつもりで
相手に向き合うしかない

編集・削除(編集済: 2023年05月26日 14:38)

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