彼方(あそこ) エイジ
ひとは肉体が滅びると
彼方(あそこ)へ行くという
それはどうしても感じられないもの
ひとには第六感があるでしょうか
あるとしてそれが感じられるでしょうか
それは文字と文字との間に
そっと浮かんでいて
いつでも笑みをたたえ
どうしても読めないものです
どうしても見えないものです
それは音符と音符との間に
そっと佇んでいると思ったら
あちこち飛び回って
いたずらするのです
どうしても聞こえないものです
どうしても見えないものです
それは彼方(あそこ)にいて
時空と時空の間を行き来し
過去 現在 未来
の隙間にいたかと思えば
普段は時間にいないものです
どうしても感じられないものです
光の粒子の間を縫って現れ
音にならない音の中に
消え去っていくのです
彼方(あそこ)のことを
記そうと思うのですが
第六感で一瞬感じたら最後
たちまちひとの感覚から
消えてなくなるのです
それは在るようでいて
それは消えているようでいて
明かりを灯したかと思うと
ふっと我々の寝顔を
覗きに訪れるのです
それはどこかに在るのです
でもどことは言えない
ひとの意味の世界と
ひとの感覚の世界の
遥か遠くに在るのです