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スレッドNo.2153

感想と評 5/19~5/22ご投稿分  三浦志郎  5/27

お先に失礼致します。

1 積 緋露雪さん 「死に化粧」 5/19 初めてのかたなので、今回は感想のみ書かせて頂きます。
よろしくお願い致します。テーマはこれでいいです。「デカダンス」という言葉を思い出していました。
そこにある耽美的なもの、退廃的なもの。そこにある美のような。死の時点で「貴女」は美の極点に至りました。ところで「極点」という言葉は至高ですが、一面不幸な言葉でしょう。それを境に降るしかないからです。「貴女」を極点のままにおくのはもはや火葬しかないわけです。そんな事情を踏まえ時間の因子も含めて、後半の思考部分は整合性もあり説得力を感じました。いっぽうで、前半の「時が移らうから~」から「大盛況です。それと同じで」までは、これは少し横道のような気がします。テーマを捕捉思考するに、関連性・証明性が曖昧な気がします。表記ですが、散見される中で、「せう」に代表させますが、文語風と現代語の言い回しの混在はかえって「せう」が浮いてしまいそうです。作品は作者のものであり、意図もあるでしょうから、これは一読者の感想として書いておきます。また書いてみてください。


2 晶子さん 「母であること」 5/19

冒頭上席佳作。それ以外考えられない。ここんとこ、ちょっと足踏みされてたんですが、これは補ってお釣りが来ますなあ~。クリーンヒット。ちょっと感涙ものです。実にいいですね じゃあ、どういいのか? 母である人、母になろうとする人、にぜひ読んでもらいたい。「母は強し、母は偉大なり」とか言われますが、この詩はそんな大上段でないところが、むしろいいです。日常的で親しみがあり、すぐ隣にいる感じ。「あったなら~いえいえ~でしょう」―この「not~but」構文が実に「調べ」を作っています。その中身もバリエーションとしてよく練られている。上記したことは副次的なことで、ここで強調しておきたいのは、母の子を思う純粋な気持ち。“この詩にはハートがある”ということなんです。

アフターアワーズ。
これ、曲があって、それに付ける歌詞ということでは全然なしに、もともと、詩だったものにメロディーをつけた、そういった感覚が望ましいのです。余計な楽器はいらず、ピアノ1台を従えて、クラシック声楽の人かオペラ歌手が歌うと素晴らしいと思います。


3 エイジさん 「老人とピアノ」 5/20

そう来ましたか、「アウラ」。調べました。日本語で「オーラ」と言えば、少し世俗的でイメージしやすいのですが、哲学用語としては、はなはだ難解であります。エイジさんは「老人とピアノ」によって、それに迫ろうとしたか(感覚として↑)、あるいは「老人とピアノ」といった点景によって具象化したか(感覚として↓)。そのどちらか、あるいは両方同時かもしれない。「シャーマン」もこの詩のムードを盛り立てているでしょう。4連が最もアウラ概念に沿った詩行と言えるでしょう。そもそも生身の老人を登場させ、そこで生ピアノを弾かせた、それ自体アウラ的と言えなくもない。(not複製という意味で) 大変失礼な言い方をしてしまうと、老人が現れピアノを弾いただけなのですが、その点景に崇高さを付与できた、それがこの詩。「アウラ」のお陰か?点景ではなく天啓かもしれない。佳作を。


4 大杉司さん 「話し合い」 5/21

錚々たる国のサミットを単に「話し合い」としたのが、かえっておもしろいです。そうですね、タイトル通り庶民感覚で言うと、この詩の感じでしょうね。庶民ながら、思うところは4連以降にありそうです。あっという間に終わった感じです。大杉さんは時事の話柄が割とありますが、詩にする場合、もう少し詩性というか、ロマン性は欲しいわけです。この詩の場合、ちょっと平板な気がします。今回のこと、例えば広島という場所、原爆資料館のこと、ウクライナ大統領のこと、どれかひとつでも加味されると、詩もだいぶ立ってくると思います。佳作一歩前で。


5 山雀詩人さん 「ふるさと」 5/22

ふるさとが「僕」、擬人を与えられ、ふるさとが口をきいたとすれば、きっとこう言うでしょうね。
「みたいなものかな」と言ってるけど、「そのもの」でしょ。僕が好きなのは7連の、少し方向を変えたところと終わりの2蓮ですね。ところで解釈はもうひとつあって、「ものかな」が事実であるとすれば、これは生身の人間と取ってもいいし、あるいは実家にでも残して来た、ある物品を擬人したものでもいいわけです。この詩はそんな微妙さの中にも存在するかのようです。どの立場を取っても、無償の包容力のようなものを感じさせてくれます。それは、この詩が終わりに近づくほどに感じられるものです。甘め佳作を。


6 ベルさん 「公園にて」 5/22

普通、このタイトルからすると”今、そこにいる“と取る確率が80%以上(?)でしょう。ところが、この詩の現在形の場所は不明と取るのが妥当なようです。強いて言えば、この道あるいは「ゆりの花」が咲いている何処か?このタイトルは実は”全くの過去“に属する、そこがおもしろい。意図したものか、それとも書いていてたまたまそうなったか、まぐれでも意図でも結果としておもしろい効果をあげている、と言いたいです。文中に見られるロマン性というか、詩情もなかなかいいものです。特に最後の連がいいですね。こんな感じでこれからも。佳作半歩前を。

アフターアワーズ。
後付けになりますが……
「答えなどなく頬を伝うものは/これまでの歩いてきた道」―超アクロバット的繋がりで、ギリギリセーフか?本来なら、もうワンフレーズ欲しいところ。


7 まるまるさん 「昨日の夜のこと」 5/22

この詩は息子さんの方が主役です。娘さんの方はこれでひとつ話が完結していますね。もう少し書くべきは息子さんの心の、所作のデティールという気がします。姉への気づかい、雰囲気の和らげ、家族意識、そういったことでしょうかね。最後は「ありがとね」のほうが気分にふさわしいですね。
日常詩の中でも、も少し詩であってほしい、詩性のようなものがほしいと思うわけです。
そのキーを息子さんが持っているように思われます。「どしたのー?」から始めましょう。
佳作一歩半前で。


8 朝霧綾めさん 「言葉などいらない」 5/22

「自然+この世の中=世界」 とするならば、これは私と世界との関係詩とも取れそうです。
世界は今までに充分言い尽くされている。その通りです。その通りであることが前半―哀しいけどー充分言い尽くされている。結果としての終わりから2連目、これはまた面白い感情で、心の襞のようなものを上手く表しているように思います。やっぱりキメは終連にあり。一発逆転で詩を書いてしまう。その許容も世界が有するところのものでしょう。裏側からの世界賛歌か?ひとひねり、がこの詩の代名詞か?

その小さな想いをも
引き立ててくれそうな“ひとひねり”で
この詩は存在しているということに……佳作を。



評のおわりに。

「ご趣味は?」
「庭いじりです」
「どのような?」
「雑草を栽培します。しかる後に駆除することです」
(あ、アジサイさいた、ウチはピンク)  では、また。

編集・削除(編集済: 2023年05月27日 18:29)

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