タンポポ freeBard
たとえ私一人がこの一雫の水を惜しんでも 世界は何にも変わらない
馬鹿だとみんなが嗤ってる
野原で転んで膝擦りむいた 助けたタンポポ笑ってる
馬鹿だとみんなが嗤ってる
テレビのニュースで人が死ぬ 遠くの国なら関係ない
名前も知らない遠い人 目にも入らぬただの草
関係ない 関係ない みんながそう言う 関係ない
踏んでる草も関係ない 殺した虫も関係ない
魚を食べる 肉食べる 野菜は嫌いだ捨てちまえ
あたりまえだろおれたちは 言わずと知れた人間様
だからなんだと大地が割れる 陽射しはグラグラ照りつける
そんなときだけわかってる 敬意と畏れを抱いてる
だけどそれきり諦めて 天災だからと考えない
結局だあれも気がつけない
今この一雫の水を大切に想っても 津波が引いてくわけじゃなし
あたりまえだろそんなこと おまえは馬鹿だとみんなが嗤う
自分もたかだか自然だと 自然の中の一部だと
本当のことには知らんぷり 不便になるのは嫌だから
関係ない 関係ない あたりまえ あたりまえ
大きな森に逃げ込んで 思い込みで目が見えない
本当は不安な胸の内 みんなでいれば怖くない
そうしてますます目が見えない
だからせっせと灯を灯す
ギラギラ機械の灯を灯す
ギラギラギラギラ照らされて ピカピカ輝く思い込み
科学だ 進歩だ 人間だ ステレオタイプの九官鳥
ほれ見ろ あそこのあのビルを
アホウドリさえ飛び立った
それでも進歩も大切だ だからみんなで考えよう
フザケ半分でもいいよ シャレで世界を憂うフリ
本気で憂うヤツなどいるもんか それがどうやらいるらしい
成程そういうこともある 色んなヤツいておもしれえ
どちらが優れているのでなく どちらが正しいわけでもなく
ほほぅと唸る愉しさを 互いに交換すればよい
小賢しうるさい奴もいる まあ、まあ、ひとつ聴いてみる
野原に根差す意志がある 堅く貫く意志がある
虐げられた夜の扉を開かんとする信念は 風を熾して種を運び
対話の種をひらく光は 時空を超えて文化に宿る
あちら側とこちら側 立たねば知り得ぬ景色もあろう
向こうに立つのに邪魔なもの
それはいつでも翻り こちらに立つには大事な指針
正義だ主義だ経験だ 事実 真実 科学の粋
それらを信じるあっち側
感謝 寛容 可能性 伝説 神話 普遍性
それらを信じるこっち側
いやいや二極だけではない
そっちもどっちもバッジは様々
十人十色の千色万花
正義や信念とかいう思い込みに気をつけて
彼の話し終わるまでの僅かな数秒間
知らない国の音楽でも聴くように
彼の話を聴いてみよう
君の話も聴いてみよう
いつでも何かのキッカケが
平凡な野原にだって埋もれているかもしれない
どんなことにでも まさかがいつでもありえると
偉そに誰かに教えてやり 良い気分になってやろう
不純な動機でいいんだよ 私が良ければそれでいい
そんな気持ちはいつもある 色んな気持ちが誰にもある
人の心はまったくお天道さん 雨降り晴れて火事オヤジ
がっかりすること多いけど 明日は明日の風が吹く
今日のアイツは明日にはいない 今日の私も明日にはいない
変化が見えずにイライラしても ちょっとちょっとは進んでる
少し多めに見てやるか 少し多めに見てください
あたりまえ ありえない みんな言ってる ジョーシキだから
そんな思い込みの向こうに花が咲く
誰にも綺麗な花が咲く
よく晴れた朝の光にタンポポは花開く
当たり前とはそういうことなのだ
私たちに決めつけられることなんて
実はひとつもないのだろう
唯の一つもないのだろう